青春うえすと。 (ページ38)

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雨宿り。K,Tomohiro ページ38

「神山さん。」

後ろからそう呼ばれ振り返ると、バイトの後輩の女子がいた。

「あ、(人1)さん。」

「お疲れ様です。」

横にするりと並んだ彼女は、少し寒そうにセーターの袖を伸ばした。

「なに、大学帰り？」

「はい。神山さんは？」

俺も、と返すとニコッとはにかんだ。

相変わらず彼女の笑顔は暖かい。

「あ、雨……。」

ぽつりと頬を濡らした雨に驚いて、彼女は目を細めた。

背負っていたリュックを開けてゴソゴソすると、残念そうに肩を落とす。

「傘、忘れたん？」

「…そうみたいです。」

そう言っている間に、雨が大降りになってきた。

「こっち。」

彼女の手を掴んで、近くのバス停の屋根の下にもぐる。

「すっかり大降りですね。」

眉を寄せて言った彼女は、俺をゆっくり見上げだ。

少し濡れた髪の毛が、妙に色っぽさを増していた。

「そうやなぁ。」

「どうしましょう……。」

「…待つしかないやろなぁ。」

少し気まずくなって笑うと、彼女はベンチに腰をかけた。

「天気予報では言ってませんでしたもんね。」

「せやな。」

でも、と彼女は髪を耳にかけた。

「たまには…雨宿りもいいですよね。」

寒くなってきたからか、彼女の頬は赤くなっていた。