青春うえすと。 (ページ26)

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3番目の。N,Jyunta ページ26

「…先輩。」

桜をバックに、全てがまるで貴方の為だけに用意されたかのように。

彼は、キラキラと輝いてこちらを見た。

「…卒業、おめでとうございます。」

「ありがとう。」

目尻にしわを寄せてふわりと微笑んだ先輩は、卒業証書のはいった筒を持ったまま、手を後ろで組んだ。

「早いもんやなぁ。」

「そうですね……。」

明日から、先輩はもう来ない。

出会った図書室でも。

たまにすれ違った廊下でも。

生徒会長として挨拶をしていた体育館でも。

もう、彼を見ることはできない。

そう思うと、ツンと鼻の奥が痛かった。

「そないな顔せんとって。」

ぽん、と頭の上に乗っけられた手は、今は胸の痛みを強めるものでしかなくて。

この痛みから解放されたくて。

「先輩、好きです。」

私はそう告げていた。

困ったように笑う先輩。

この顔を自分がさせてしまっていると思うと、なんとも言えない気持ちになった。

知ってるよ。
年上の彼女がいること。

その人においつくために、勉強頑張って有名私立大学に入学したこと。

年下なんて、眼中にないこと。

私のこと、妹みたいにしか、思ってないこと。

全部、分かってたよ。

「A…」

「分かってますっ。ごめんなさい。」

急いで笑顔を取り繕う。

笑え、笑え。

せめて今だけでも。

「最後に、一つわがまま良いですか？」

”ボタン、ください。”

彼は、また困ったようにに眉を下げて、

上から3番目のボタンをちぎった。

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本当は第2ボタンを貰うところを書こうと思っていたのに……あれ……？

第3ボタンの意味は是非調べてみて下さい。