師匠は語らない 拾五 ページ21
「……さて、あいつのことは全部話したぞガキ。これからまた情報を集めるか？」
店の扉の前で、黒蜘蛛は腕を組ながら呟く。
空にはもう、すっかり月が登りきって、街の遠くに見える山の先には、ぼんやりと柔らかい光が溢れていた。日の出である。
「ひとまず家に戻って、また探しに出ようと思っている。吾輩の帰りを待つ奴がいるのでな。」
そう言って苦笑いをする土蜘蛛に、黒蜘蛛は状況を飲み込んで、つられて苦い顔で言葉を返す。
「……だろうな。まっ、頑張って見つけろよ。私からはアドバイスなんかできねぇし。」
「世話になった、また暇があればここに立ち寄ろう。」
土蜘蛛はそう言って、黒蜘蛛に軽く手を振ると、背を向けて歩き始めた。そんな背中を、黒蜘蛛が思い出したかのように唐突に呼び止める。
「あ、そうだガキ。お前、あそこの山の頂上に行くと良いぞ。」
「……山？」
「ああ、あそこにお前と同じ事を聞きにきた奴がもう１人いる。
あいつの弟子だって事、山の頂上にいるやつに教えれば、助けになるぞ。」
「吾輩と、同じように師匠を探す者が……」
その言葉に、土蜘蛛は黒蜘蛛が指差す山の頂上を見やる。朝日に照らされて、木々が神々しく、海の波のようにキラキラと輝いていた。
「……ひとまず、行ってみよう。」
「ん、そんじゃあ達者でな。ガキ」
黒蜘蛛の言葉に、若干嫌悪感を抱きながらも「お主こそな。」っと言葉を返す。
土蜘蛛は登る朝日に目を細めながらも、後ろを振り返らずに、山の頂上を目指した。
「……よし、行ったな。」
一人きりの店先で、黒蜘蛛は自分に確かめるように呟く。その黒蜘蛛の顔は、疲れているような、それでいて面倒くさそうな顔であった。
黒蜘蛛は店の中に戻ると、ゆっくりと奥の部屋に戻っていく。
「随分と口が滑るようだな、黒蜘蛛。」
奥の部屋に足を踏み入れたとたん、急に聞こえた少年の声。黒蜘蛛は驚くわけでもなく、嬉しそうでもない微妙な表情で、その声の主を見た。
雪のように白く少し長めの髪に、真っ赤な２つの瞳。肌は黒く、それを隠すかのように、口元には黒いマフラーが蠢いている。
「礼儀がなっていないんじゃないか、『影オロチ』」
「ふん、我の知ったことか。……それより、『晴明』が緊急に戻れだそうだ。準備が整ったらしいからな、お前も配置に戻れ。」
「……分かっている。」
黒蜘蛛は、もう姿の見えるはずない土蜘蛛の背中を見つめるように、すぅっと目を細めた。
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♪ - リリディアさん» そうなんですか！？少しでも癒やしになってると嬉しいです(*´▽｀*)私、宮崎で離れていますけど、遠くからリリディアさんを応援しています！！ (2016年6月23日 20時) (
レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 音楽大学の附属中学校に行ってます(^o^)v更新頑張って下さいo(^o^)oおーえんしてます！ (2016年6月23日 18時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 学校が国立で、栃木にすんでるんですが、新幹線と在来線でいってます。癒しですよ(*´∇｀*)この小説(*´∇｀*) (2016年6月23日 18時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
♪ - リリディアさん» バイオリンひかれるんですか！凄いですね!!私、リコーダーさえも吹けないのに！格好いいです！ (2016年6月22日 19時) (レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 更新頑張って下さい！僕もバイオリン頑張りますよ！ｷﾘｯ( ・`д・´)そのうちYouTubeにだすかもです(^o^)v (2016年6月22日 7時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：♪ | 作成日時：2016年5月7日 22時
