師匠は語らない 拾 ページ16
「……吾輩は、とある妖怪を探しておるのだ。」
土蜘蛛はそう言って、真っ直ぐ黒蜘蛛を見つめた。土蜘蛛の黄色い双眸と、黒蜘蛛の冷めたような瞳がぶつかり合う。
「……で、ここまで来た理由は？」
「噂だ。ほんの数人だが、ここでその妖怪と思わしき人を見たと聞いてな。
それだけを頼りに、ここまできた。」
「噂ねぇ……」そう言って黒蜘蛛はあざ笑う。
「その本当かも分からない事を確かめにここまで来たってのか？
融通がきかない所か、噂でもなんでも鵜呑みにする阿呆だったとはな。」
黒蜘蛛は吐き捨てるかのように言うと、土蜘蛛を軽く睨む。土蜘蛛も、それに負けじと口を開いて対抗した。
「あの方は、完全に足取りを消し去ってしまう。今となっては嘘の様な話でも、頼りにするしかなかったのだ。」
「随分と熱心だな、愛人捜索ならどっかの物好きに頼め。」
黒蜘蛛は椅子から腰を上げて、扉を開いた。明るい町の光が、黒蜘蛛の顔を逆行で黒く覆う。
「今すぐにここを出ろ。お前みてぇなガキにいちいちつき合ってられるほど、私は暇じゃない。」
黒蜘蛛は扉の前で、土蜘蛛が外に出るのをまつ。それでも土蜘蛛は折れずに、必死に黒蜘蛛に問いかけた。
「あの方は吾輩の『師匠』であり、『家族』のような方だ。なんでもいい、手がかりになるような事は……」
そこで黒蜘蛛は土蜘蛛の言葉に、ん？と眉をひそめる。
「まて、おいガキ。お前、さっきなんて言った？」
「手がかりになるような事……」
「ちげぇよ、もっと前。」
「あの方は『師匠』であり、『家族』……」
土蜘蛛がわけも分からずに、自分の言った言葉を探るようにして口に出した。
黒蜘蛛はそれを聞くと、満足そうに微笑んで、先程までの行動とは裏腹に、開けていた扉を勢いよく閉める。
大きな音に、思わず土蜘蛛は肩をすくめた。
「いきなり何を……」
「お前、銀髪女の弟子だろ。」
「！？……師匠のことを知っているのか？」
驚いた様子の土蜘蛛を横目に、黒蜘蛛はスタスタと椅子に戻っていくと、どかりと座り込んで、机の上に頬杖をつく。
「あいつもここの常連客。
私とは腐れ縁の中でな、よくお前の事も話してたな。ってことは、探してんのは銀髪女か。」
黒蜘蛛の問いに、土蜘蛛はこくりと頷く。
少しずつではあるが、確実に師匠へと近づいているようである。
土蜘蛛の少し嬉しそうな顔に、黒蜘蛛はニヤリと怪しく笑って
「あいつについて、全部私が話してやろうか？」
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♪ - リリディアさん» そうなんですか！？少しでも癒やしになってると嬉しいです(*´▽｀*)私、宮崎で離れていますけど、遠くからリリディアさんを応援しています！！ (2016年6月23日 20時) (
レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 音楽大学の附属中学校に行ってます(^o^)v更新頑張って下さいo(^o^)oおーえんしてます！ (2016年6月23日 18時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 学校が国立で、栃木にすんでるんですが、新幹線と在来線でいってます。癒しですよ(*´∇｀*)この小説(*´∇｀*) (2016年6月23日 18時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
♪ - リリディアさん» バイオリンひかれるんですか！凄いですね!!私、リコーダーさえも吹けないのに！格好いいです！ (2016年6月22日 19時) (レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
リリディア - 更新頑張って下さい！僕もバイオリン頑張りますよ！ｷﾘｯ( ・`д・´)そのうちYouTubeにだすかもです(^o^)v (2016年6月22日 7時) (レス) id: c27278eda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：♪ | 作成日時：2016年5月7日 22時
