比べられっ子【2j3j】 (ページ48)

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背中を押す声ページ48

Aside
『今年は今まで以上に熱いんだって。熱中症に気をつけないといけないから大変だよ』

私はもう1つの墓石に話しかけながら掃除を始めた。

『どれだけ私達が守ってもそれ以上に世界を荒らすのがいっぱい居るから困るよね』

落ちている枯葉を1枚1枚丁寧に拾いながら話しかける。

『同期にね、正嗣みたいにいっぱい煙草吸ったりお酒飲んだりする人がいるんだよ。まぁ、どっちも別々の人だし西のヒーローじゃないんだけどね？』

冷たい墓石に手を当てる。

『お酒と煙草は20歳体から持ってきてないよ？ジュースと正嗣の好きなお菓子買ってきた。此処一緒に置いとくね』

墓地に来る途中にあったコンビニで正嗣がよく好んで食べていたお菓子を見つけジュースと共に買ってきていた。

それを供えて水受けに水を入れその場に座る。

『地面がコンクリだからお尻は汚れないよ。正嗣って結構そう言うの気にしてたよね。……………やっぱりさ、正嗣見たいなバディ現れなかったよ、正嗣の嘘つき』

頬をぷくっと膨らませながら何も言わない墓石を見つめる。

『けど昔見てたでしょ？あの騒がしい同期達』

クスリと笑いながら言葉を続ける。

『けどさ、やっぱり正嗣が良いよ。同期達も確かに正嗣みたいにカッコイイけどさ、やっぱり隣は正嗣が1番だなぁ』

ほんの少し霞む視界の中一瞬、ほんの一瞬だけ。

彼(正嗣)がそこに立っている気がした。

「安心しろよ、お前の事ずっと見守ってるからさ！」ﾆﾊﾟｯ

優しく微笑んで見えたその顔と忘れてしまっていた声に私の頬はいつの間にか溢れた涙で濡れていた。