比べられっ子【2j3j】 (ページ42)

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ヒーローの話ページ42

NOside
《姫〜、来たよ〜

《姫〜

《楽しみ過ぎてやばいんやが

何時もの待機画面。

何時ものコメント欄。

何時も通りの筈なのに何処か違う様な雰囲気をが漂う画面をただただAのリスナー達は見つめ続けていた。

その瞬間、画面が真っ暗になる。

そして…………。

『何時かも分からない程遠い昔、私にはバディが居た』

Aの声が響き渡る。

『数年前に居なくなったバディは居なくなる前、私とある言葉のやり取りをした』

悲しそうに言葉を続けるAを画面の向こうから見ているリスナー達は心配そうな顔をしながら見ている。

『“周りの大人に沢山の迷惑をかけなさい、我儘を沢山言いなさい。それは子供が通る当たり前の道であり、渡らねばならない道であるのだから。だからと言って自分を苦しめる迷惑や我儘は駄目だ、そう言うのは大人が全部背負ってやるからさ、だからお前は誰かに甘えて、迷惑かけて我儘なじゃじゃ馬娘になれ。そうすればきっと、お前はもっと自分を大切に出来るいい女になる”。その後私の反応を見る前にバディは目を閉じた』

ペラリと本の頁をめくる様な音が聞こえる。

『私がどれだけ反応を待っても頷きも、怒りもしなくなったバディからは自然と体温が下がっていく感覚がした』

またペラリと頁がめくられる。

『その時、私は知った、知ってしまった。もう、貴方がそこに居ない事を。私に笑いかけて、叱ってくれる人がこの世界から居なくなってしまった事を』

パタン、っと本を閉じる音がやたらと大きく聞こえる。

『隣に居るのが当たり前だった人が居なくなって、私の心に大きくて、とっても苦しい穴が開いた』

ブーッ、とブザーの音がなり真っ暗だった画面を真っ赤な幕が何時の間にか覆っていた。

そしてゆっくりと左右の幕が開いていく。

開ききった先に見えるものはきっと……。

『皆おまたせ〜！』

貴女の輝かしい笑顔でありますように。