比べられっ子【2j3j】 (ページ37)

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温もりページ37

Aside
『助けたくて来てくださったんですよね？』

私の質問に首を縦に振るセラフ先輩。

それを見て私はセラフ先輩の手を優しく両手で包んだ。

『なら助けて下さい。あの人達(渡会家)に私が生きている事がバレないように隠して下さい』

セラフ「えっ……」

どうしたら良いのか分からない様子で私を方を見るセラフ先輩に私は言葉を続けた。

『秘密を知っているのはおそらくセラフ先輩四季凪先輩の2人のみの筈です。喋る可能性があるのは四季凪先輩ですがそちらには既に手を打ちました。問題は貴方です』

セラフ先輩の胸に指を突き立てる。

『貴方が口を滑らせてもばらされでもしたら1巻の終わり。なのでセラフ先輩には申し訳ないのですが少し“施し”を………。よろしいですか？』

セラフ「うん、いいよ。そもそも俺が見たのが悪いんだし」

甘んじて受け入れるらしく抵抗もしない。

『分かりました。記憶の改竄とまではいきませんが少しだけ記憶をいじります』

セラフ先輩の額に“蟹座”の座標を描く。

『“ドナ”？悪いんだけど“鋏”借りるわね』

《えぇ、構わないよ。好きにするといい》

“エキドナ”に断りを入れセラフ先輩の記憶を覗く。

『………………此処と此処を切って貼り付ければ』

ふとセラフ先輩の方を見ると指先がカタカタと震えている。

『(あぁ、あの手前の記憶は嫌な記憶なのか)』

目を凝らして見ると血まみれになっている幼いセラフ先輩がいる。

自分の記憶以外はいじれないから触らないがほんの少しだけ同情してしまった。

『はい、終わりました。お疲れ様でした』

“鋏”をしまい少しだけ頭を撫でる。

セラフ先輩は驚いた顔をしたが何故自分が頭を撫でられているのか理解したからか何も言わずにただ私の手に縋っている。

『大丈夫………、大丈夫。私が傍に居ますからね』

ふわふわの頭を撫でていると体に重みが伝わってくる。

寝てしまったのかしら、そんな事を思いながら私は目を閉じる。

『(あったかい……………)』

彼らとはまた違う温もり。

椅子に座らせ続けるのもと思い近くにあったソファにセラフ先輩を横にした。

寝息を立てた眠るセラフ先輩の横で眠りから覚めるのを待つ事にした。