比べられっ子【2j3j】 (ページ31)

今日:2 hit、昨日:102 hit、合計:117,202 hit

キスを1つページ31

Aside
目の前でへにゃりと笑う顔に嫌なのに心を奪われる。

お兄様はそういう人。

人の中に入るのが得意ですぐに相手の心を誑かす。

好きだったんだ。

お兄様がへにゃりと笑う顔が、心配になって泣きながら私の事を抱きしめてくれる温かさが、私の傍に何時でも駆けつけてくれるその全てが私は好きだった。

何時でも味方になってくれた貴方が大好きだった。

大好きだったんだ、大好きだったのに……。

あの日裏切られたんだ。

やってもいない罪を擦り付けられ折檻部屋に連れて行かれ朝も昼も夜もずっと身体中に痛みが続いていた。

大好きだったのに、どうして？

その言葉が頭の中を支配する。

皆私を捨てるんだ。

私がいらない子だから皆私から離れて行くんだ。

きっとそうだ。

そうなんだ。

だから私は……………。

『あはっ、苦しいなぁ』

何処にいるか分からず辺りを見回す。

けれどそこが何処かも分からずにただただ時間だけが過ぎる。

？？「…………………どうしてここに来たんだ」

見覚えのある色。

真っ白な洋服を着た彼だった。

『さぁ？気が付いたらここに居た。君は？』

彼の方を見ると呆れているのか怒っているのか分からない顔で言葉を続けた。

？？「早く帰れ。君はここに居るべきじゃない」

そう言うと彼は私の湖に突き落とした。

その顔を見ると泣いているように見えた。

次に目を開けると見覚えのある青い髪が目の前に広がっていた。

『…………なんで泣いているの？ロウ』

小柳「………………お前が泣いてるからだよ」

泣いて欲しい訳じゃないんだ。

だから泣かないで。

チュッ

貴方の瞼に優しいキスを一つ。

それに驚いたのか一瞬目を丸くしたが彼は私の唇に優しくキスを落とした。

柔らかい唇が私の唇に触れてよく分からない感情が込み上げる。

今度は私が彼の唇にキスを1つ。