比べられっ子【2j3j】 (ページ30)

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居なくなった妹ページ30

渡会side
俺はあの日、大切な妹を見捨ててしまった。

家族差別という言葉が当てはまる様なそんな家だった。

父ちゃんも母ちゃんもお手伝いさん達でさえAちゃんに暴力を振るっていた。

日に日に細くなっていくAちゃんに1度だけ自分の食事を渡そうとしたことがあった。

けれどそれが父ちゃんにバレてAちゃんは酷く暴力を振るわれた。

助けたかった。

本当は俺が渡したんだって言いたかったんだ。

なのに俺は父ちゃんの鬼の様な顔が怖くて無理やり取られたんだよな？と言う父ちゃんの質問に首を縦に振ってしまった。

俺の方を見てニヤリと笑った父ちゃんはAちゃんの髪を強く引っ張って長い廊下を歩いて何処かにいなくなった。

俺はその場にしゃがみ込んで涙を流した。

渡会「Aちゃん………ごめんね」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛｯ

その場所にAちゃんは居ないのに俺はずっとそう唱え続けた。

まるで呪いの言葉の様に。

数日後に会ったAちゃんの体は傷だらけで所々強く殴られたのか肌が紫色に変色していた。

渡会「A、ちゃん！俺、俺！」

俺がそう言ってAちゃんの方に近付くと物凄い力で押されAが俺の方を冷たい目で見る。

『貴方には分からないでしょうね。才がないと“勝手に決め付けられた”私の気持ちなんて』

Aちゃんはそう言うと何事も無かったかのようにニッコリと笑った。

『さようなら雲雀お兄様。私、今日の夜居なくなるわね』

次の日、Aちゃんは忽然と姿を消した。