比べられっ子【2j3j】 (ページ27)

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大嫌いなお兄様ページ27

Aside
その場にしゃがみこみ影をじっと見つめる。

どのくらい話は進んでるんだろう、なんて考えて居ると後ろから声をかけられた。

？？「大丈夫ですか！お腹痛かったりします！？今スタッフさんを」

なんで此処で会うのかな。

今までずっと避けて関わらないようにしてたのに。

顔も見たくないから極力時間をずらす様にしてたのに。

『……………………いいえ、ピアスを1つ落としてしまって』

そう言ってゆっくり立ち上がり前を見る。

その人は私がそう言うとホッとした様な顔をして笑った。

？？「なら一緒に探しますよ！1人で探すより2人で探した方が早いですから！」

何色ですか？なんて首を傾げて聞いてきた。

私の事が分からないのか忘れているのか。

『黄色いピアスを…………』

そう言うとその人は分かりました！と元気に返事をしてしゃがんで地面とにらめっこをしていた。

ふとその人の頭を見る。

紫の髪にインナーカラーのピンクに近い赤の髪がチラリと見える。

昔はこんなにカラフルな色だったかなんて思いながらその場にしゃがんで床を見つめる。

その人は真剣に探しているのか此方に見向きもせず床と向き合っている。

父親「お前がそんなもの持っていい筈がないだろう！分を弁えろ！出来損ないが！」

母親「才能のないお前はあの子達に近付かないで！その“菌”が移ったらどうするの！？ただでさえあの人に怒られるっていうのに……！」

私の居場所を無くした貴方。

本当は自分が悪いのに全て私の所為した貴方。

私は貴方が憎たらしくて仕方なかった。

もしも、貴方が私の様に怪盗の才がなく産まれてきたら。

もしも、貴方が失敗をする人だったら。

もしも、“貴方さえ生まれて来なければ”。

私の何もかもが“無くならずに(壊れずに)”済んだのに。

私はそっと傷だらけの体に手を添えた。

こんな体になりたくてなったんじゃない。

私の居場所を、存在価値を奪ったこの人が悪いんだ。

ねぇ、渡会雲雀(大嫌いなお兄様)。

お前が私をこんな体にしたんだよ。