似て非なる者 ページ22
Noside
小柳「誰だ、お前」
『………………』
小柳はそう言うとAの方に剣先を向けた。
叢雲「何言ってん？何時ものAやろ？」
伊波「そうだよロウ！剣下ろせって！」
星導「………………」
慌てて止めに入る叢雲と伊波、無言で小柳の方を睨む星導。
そんな状況を他のライバー達も固唾を呑んで見守っていた。
小柳「お前Aじゃねぇだろ」
小柳の剣先がAの喉に触れた瞬間。
A？？「あはっ、バレちゃったぁ？」
甘ったるい声がその場にこだまする。
？？《バレちゃったなら、しょうがないよねぇ？“お嬢”、怒られちゃうなぁ〜》
Aだった物は姿を変え最終的には全く異なる姿に変わった。
星導「…………………あぁ、貴方でしたか。魚座の“セイレーン”」
《…………………お前まだ生きてたの？さっさと死ねば？》
小柳「“セイレーン”？」
小柳がそう聞き返すと星導は口を開いた。
星導「Aがヒーロー活動をする時に使う黄道十二門の1つ、魚座の“セイレーン”。対象者に自身の歌を聞かせる事で幻覚を見せる事が出来、その効果は敵味方関係なく発動する為普段は絶対に使わないと言われていましたが」
星導の言葉で全員が“セイレーン”の方をみた。
“セイレーン”はその美しい羽を広げニヤリと笑った。
《まぁ、アンタ達を殺せって言われてた訳じゃないし。それにこの記憶もあと5分で消えるからアタシにして見ればどうでもいいんだけどね〜》
魚のヒレになっている足を上下に振って遊びながら外を見ている“セイレーン”に星導は言葉を続けた。
星導「何故此処に居るんです？人間の世界は汚くて息が出来ないと自分で言っていた気がしますが」
《お嬢に頼まれたのよ。少しだけ私のフリをしてて欲しいって。代償はなんでもあげるからって言われて仕方なく変わってあげたの。お嬢が何処にいるかは知らないわよ？》
そう言うと“セイレーン”の体を淡い光が包む。
《もういいみたいだからアタシ帰るわね〜》
そう言うと“セイレーン”は一瞬星導の方を見て何かを伝え消えてしまった。
《お嬢、このままだと本当に死ぬわよ？》
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作者名：エリス | 作成日時：2023年9月22日 10時
