比べられっ子【2j3j】 (ページ14)

今日:10 hit、昨日:102 hit、合計:117,210 hit

優しい子ページ14

佐伯side
Aちゃんを最初に見たのはふわふわ浮かんで東に来てくれた時だった。

『“フォルムチェンジアルテミス”』

真っ白なドレスに大きな弓。

弓は勝手に動き出し空にいる敵を見つめていた。

『撃ち落とせ、“トライスター”』

Aちゃんの呼びかけを聞いたかのように弓は空に向かって放たれた。

『応援を呼ぶ程の敵だったんですか？』

頭上をふわふわと飛びながらAちゃんはそう聞いた。

噂には聞いていた、西にいる絶対零度なヒーローの話。

みんな噂にしか思ってなかったけどほんとにいたんだ、なんて思いながらリト君達の方をチラッと見ると反応に困っていた。

「Aって言うんだろ？冷徹で敵味方関係なく殺すって噂の西のヒーロー」

「だって西だろ？治安悪ぃからなww」

「違いねぇや」

Aちゃんを何も知らないのに馬鹿にしていた奴らが許せなかった。

何も知らないのに、知ろうともしないのにそんな口たたくなよ。

Aちゃんがどれだけ頑張ってるかも知らないのに、市民を守ろうとして重傷負って帰ってきたのだって知らないくせに偉そうな口を叩くなよ。

『他人の心配するくらいなら自分の心配したら？私みたいに死にかけたくはないでしょ？』

俺は知ってる。

キツイ事を言っている様で相手思いなのを。

俺は知ってる。

傷の痛みが強すぎて自分の腕を噛んで痛みを誤魔化しているのを。

俺は知っている。

君が傷だらけヒーローじゃなくて、“一人の女の子”だって。