虹のしたで始まる恋。 (ページ9)

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ー飛穂sideー

朝教室でみんなと話していると、廊下を走っていく愛結心が見えた。

泣いているように見えて、教室を飛び出して愛結心を追いかける。

人気の少ないところまで行くと体育座りして膝に顔を埋める。

やっぱり泣いてた。

泣かせたのは多分優我。

「愛結心。」

近くに行って名前を呼ぶ。

その声も聞こえないくらい愛結心は泣いててしばらく隣で座っていた。

理由はわかんないけど愛結心を泣かせた優我にムカついてイライラする。

愛結心が選んだ相手ならって思って応援してたけど、泣かせるんだったら許せない。

相手が優我だろうと絶対許さない。

「…飛穂？ごめんね。」

小さい声で泣きながら言う。

悪いのは優我なのに、なんで愛結心が謝るの。

なんでこんなに優しい子が傷つかなきゃいけないの。

言いたいことは色々あったけど、一番大きいのは俺の方がって気持ちだった。

優我よりも愛結心のことわかってるし、笑わせる自信もある。

だけどやっぱり優我のことを思って泣いてるのを見ると、必要なのはお前じゃないって言われてるみたいで声が出ない。

「ねえ、愛結心。優我のこと好き？」

そう聞くと、

ちょっと悲しそうな顔して「好きだよ。」って言うから、

「じゃあ、なんで泣いてるの？」

ってわざと聞く。

愛結心は黙り込んでしまって、下を向く。

「……ごめん、忘れて。」

答えが聞きたかったわけじゃなくて、考えて欲しかったんだ。

傷ついてまで好きな人と付き合ってる意味を。

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ー愛結心sideー

「……ねぇ。優我くん。

……私のこと好きじゃないんでしょ…」

人気のなくなった廊下で優我くんを見つけた。

自分よりも20センチ近く背の高い優我を見上げて言う。

「……うん。別に好きじゃない。」

わかってたことだけど正面から言われるとやっぱり辛い。

本当はちょっと期待してたし、好きって言ってくれたらって思ってた。

その期待も片思いで終わった。