【歌い手】歌わないのか【男主】2

. 42「色褪せる、」 ページ3

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『俺ね、絶対にエルの譜面を手に入れるんだ。』


時々Aの口から出てくる“エルの譜面”。


『うらたくんも探そうよ、一緒に』



Aはそれを当たり前のように話した。
まるで、俺がエルの譜面を知っているかのように。

俺は、Aと仲良くなりたくて、Aを深くまで知りたくてひたすら相槌をうった。



そんなある日、Aは突然ある言葉を発した。



『うらたくん！俺ね、俺、やっとエルの譜面を手に入れたの！だからね、えっと、ここにはもう通わなくて良くなった！！』


笑顔で言ったA。

なんだそれ。

どういうことだ。


小学生の俺も、少しおかしいと思った。

エルの譜面を探してたAは、それを見つけて、そしたら精神病院に通わなくてもよくなる…？

なにそれ、


なぁ、


う「エルの譜面ってなに？」



思い出せない。


思い出したくない。



あの時のAは、まるで、そうだ。


色褪せる、あれだ。

あの、目は、


大きな、眼球は、俺を見て、



なんだろう。よくわからない。


思い出せないけど、



大事だと思うんだ。



俺、だって、Aの笑顔が見たくて、


で、




何だったっけ。






色褪せる、




色褪せる、







あの子。




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