【歌い手】歌わないのか【男主】2

. 58「大嫌い」 ページ19

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俺は歌うのをやめた。

親は俺に歌を進めた。


それは、もっとお金がほしいから。



俺は、祖母に頼んで両親の元を離れた。


疲れは肉体から精神まで蝕んで、
歌わないと決めた時、世界からの期待と両親の蘇る喧嘩が俺を苦しめた。

歌が全てを壊した日々。


全てを背負いきれずに。



全てを書き換えて逃げた。


名字も泉から若葉に変え、髪色も周りと同じ黒色に変えた。


たくさん寝た。寝ると悪夢を見てしまう。


その悪夢は、俺が歌を歌っているんだ。


俺は、もう一度歌を…



歌おうとすると頭が痛み全てを思い出す。

気持ち悪くなる。



俺は、歌が歌えなくなった。


それで良いと思った。


俺の幸せを壊した歌なんか大嫌いだ。



歌から逃げたのに辛いのは変わらない。





なんで、俺だけ。



歌がなければ皆幸せになれた。



媚を売る両親も友達も、俺を見てくれなくなったことも、家族がバラバラになったことも、眠れなくなったことも、全部歌のせい。



そうだ。

それなら、創ろう。


そんな世界を。



俺が歌わないで、皆が幸せになれるような世界を。


俺の、“エルの譜面”がきっと、



創ってくれる。







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