むさ苦しい男共がいる部屋 (ページ33)

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訪れた、幸せな可能性の話ページ33

そんな事思いながら、取り敢えず皆には待機して貰い僕とルフィとエースは物置部屋に篭った

エ「…で、どういう事なんだよ……なんで死んだ筈のサボが、いるんだよ！？」

『…端的にいうと、サボはあの日死んでなかったんだよ。死んだと、勘違いしてただけなんだよ、君達が勝手にそう思ってただけ』

ル「ッじゃあ！なんでサボは俺達の顔見ても、何もねー顔してるんだ…？」

『…記憶喪失なんだよ、君達と過ごした幼少期の記憶は一切ないんだ』

僕がそう言うと、二人とも唖然とした様子で固まった。簡単に言ったが、そりゃそうだろう。盃を交わし誓った唯一無二の兄弟が、実は生きていて記憶喪失だなんて受け入れ難い話だろう

エ「…っんで、なんでお前がそんな事知ってんだよ！？」

『…なんでって言われても……君達の素性や来歴は知ってるからね。エースには言わなかったか
此処は、未来のワの国で君達は過去の人間。時空を越えたんだ、君達は』

ルフィは事前に話していたからか、けど何処か嬉しそうに悲しそうに大粒の涙を流して声を抑えていた

エースはその衝撃的事実を幾つも聞かされ動揺を隠せないのか、事実に頭が追いつけず混乱しているのか、ルフィ程ではないが絶望にも似た嬉し泣きの涙を流している

そう遠くない未来の話
ルフィはエースを目の前で失うのだが…もしサボが本当に死んでいれば、ルフィは本当に一人だっただろう

大切な兄弟が、初めての友達が、二人も死ぬのだ。一人はまだ手の届く範囲だったかもしれないが力不足だった

しかし、一人は…目の前だった。目の前で、大切な兄が失われたのだ。命も、尽きる寸前だった

しかし彼は、ルフィは生きる気力を見出した
大切な兄が死して尚、彼は必死に夢を追う事を決めた。弟を置いて逝った兄も、さぞ心残りもあった事だろう

ル「っゔえ…ぐ、…っぐず……ッ！」

エ「…っ生きて、た……生きてたのか…サボ……ッ！」

この家に此奴らを連れて来た犯人の経緯は知らないしわからない。けれどこの時は何となく思った

訪れなかった、幸せな話

今それが、実現可能になり得ている
それが、犯人の目的なんじゃないかって。そんな、脳内御花畑な話を夢見た

もし、エースが死ぬ前にサボが生きてると分かっていたら
それが今、異様な形を成して実現している

『…そんな話、あってもいいかもなぁ』

僕はふと呟けば、泣き叫びたい気持ちを抑える二人の背中を優しく撫でた