むさ苦しい男共がいる部屋 (ページ14)

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その優しい手をページ14

「まぁ勿論、貴方の様に実力でのし上がってきた人もいれば姑息に他人を踏み台にして上がってきた人もいる

その辺はまぁ、この時代でも変わらないんでどうも思いませんけど」

それを正そうとする人がいない世界なのだから、仕方がない。いたとしても、その人の耳を全員が貸す事は一生無いだろう
これからも、この先も

「…君は、さっき自分が家主だと言ったね
お父さんと、お母さんは？」

そう、ピーマンの中の種を抜いていたクザンさんが僕に問いかける
僕は勿論、その問いかけに慣れない笑顔で答えた

「死にました、自害ですって」

僕がそう言うと、クザンさんは少し目を見開いて僕を見る
僕はそんなクザンさんを気にせずに、残りのピーマンの種抜きを始めた

「…お父さんとお母さんは、好きだったかな？」

「嫌いですね」

「そうか…と、ピーマンも玉ねぎも終わったよ」

有難う御座います、とクザンさんからピーマンと玉ねぎをザルの中に入れてもらえばご飯の時間を見てみる。後15分、時間の流れは早いものだ

「もう簡単な作業なんで、クザンさんは皆と休んでて下さい」

「いいのかい？ならお言葉に甘えて」

有難うね、とクザンさんは言うと洗った後の手で僕の頭を軽く撫でてキッチンから出て行った

「………」

一瞬、息が詰まった気がした
すぐに息は安定したけれど、僕の心が落ち着かない

僕は野菜を炒め始めようと、スイッチを押してフライパンを温め出す

「(ああ、嫌いだ。その手は嫌いだ)」

クザンさんが撫でたその手が、あの日の優しい手と重なって、嫌いだ
なんで男性の手って大きいかな

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重たい話は後の祭り
腹減りました