素晴らしい今日よ～黄～12 (ページ29)

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322　　喧嘩の途中　ジャッキーside ページ29

取っ組み合いの始まった二人の体を引き離して
　辻尾はマックとジョニーがカウンターへ連れて行き、
　俺は満をトッポと一緒に
　カウンターとは離れた壁際のソファーに連れて来た。

　満の表情は辻尾に喧嘩を売った時とは大きく変わって、
　どこか放心状態で辻尾に殴られた影響かと、
　トッポと顔を見合わせた。

　トッポは俺と同じ思いやったのか、
　辻尾が殴った満の口元を消毒して絆創膏を張り付けた。

満「痛っ、っ……」

ト「自業自得、元とはいえヤクザに喧嘩売ったんやで、
　これで済んで良かったと思えよ」

　少し乱暴に張り付けた絆創膏の上を
　改めてトンッとつついた。

ジャ「ホンマや。結局一回だけやったしな、
　辻尾も素人相手に本気は出さんって、
　奴なりの心遣いやろな」

　痛そうに顔をゆがめる満に目を向けると、
　居心地悪そうに顔を伏せる。

ト「それにしても、あの言い方やったんや。
　辻尾でなくても殴られても文句言われへんやろ」

ジャ「満らしくないよな、喧嘩とか嫌いやろ？
　まあ、亮とはふざけ合ったりしてたけど」

　これにも何も反応してこないが、
　ふさぎこんだ感じも変らない。

ト「さっきまでの勢い、どこ行ったん？」

　さすがのトッポも満のあまりの変わり様に納得がいかない。
　なんやねん、この駄々下がりのテンションは？

ジャ「……満、痛いんか、それともどこか別の場所か、
　しんどいならはっきり言えよ。
　頼んなさそうでもこいつ薬の知識半端ないし、
　傷の治療くらいなら任せて大丈夫やで？
　それでもアカンなら医者連れて行ったるし、どうや？」

　って聞いてみても反応なし。

ト「口元の傷は痛みはあるかも知れへんけど、
　そこまで深くも大きくもないから跡も残らんと治る。
　でも他にもあるなら教えてや。なんでも早期治療が肝心やろ？」

　珍しくトッポが饒舌や。
　トッポの口をここまで開かせといて、
　それでもだんまりを続けるのは、よっぽどなんやろ、
　それは一体なんや？

ジャ「満。なんかあったんか？
　それ、俺らで協力できるならしたいんやけど？」

　って言うたら、
　満の頬がピクッと動いた。

ジャ「で、何があったんや？」

　そこ見逃すはずないやろ。
　じゃあ、これから話してもらおうか満君。