363-1 空のベッド ： 章大side ページ46
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章「あ、そや。今日、病院行こ」
って呟いたら、
友「あ、お兄ちゃんとこ？」
聞こえてたみたいで、相槌を打たれる。
章「そう、この事伝えようと思って」
部活の続きしながら
手だけは動かしながら話だけは続ける。
友「そっか、なら、俺も行こうかな」
なんて言うから、
章「ええよ、気にせんでも。別に落ち込んでんちゃうから」
そう言うたら、予想外の返事。
友「ちゃうよ。俺が章大のお兄ちゃんに会いたいの」
とか言われた。
章「なんで？」
純粋に思った。
つい手も止まる。
友「う〜ん、なんでかな？」
章「理由ないんかい！」
突っ込んでもうた。
けど、
友「ないわけやないけど」
思わせぶりな言い方に、
章「なら、なんなん？」
それには、二人とも手をとめて話してた。
友「章大のお兄ちゃん見てたら、俺も頑張ろって思えんねん」
章「え？」
意外な内容に、見入ってもうて、
友「う〜ん、どういうたらええか分からんけど、
なんか悩んでんのがアホみたいに思うっていうか、
『俺何悩んでんねん』って思えて、
もう一回頑張ろって思えるねんな」
『理由は知らんけど』とか言うてた。
でも、それ分かる。
亮兄と一緒に居るだけでこっちが元気にんなれるねん。
章「ふ〜ん。なら、一緒に行こうか」
それには、
友「おん。あっ、なんかお見舞いとかいる？」
って訊いてこられて、
章「いらんよ。そんなん持って行ったら『もう来るな』言われるで」
友「それもそうやな」
章「な？」
顔を見合わせると、ニッって微笑んだ。
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作者名：にと | 作成日時：2017年4月15日 22時
