マイホームのpiece（かけら）～黄～ 12 (ページ31)

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355-1　訪問者　：　裕side ページ31

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　いきなりの声に俺らは驚いた。

　後ろ言うても、

　亮のベッドを囲んでるから

　正確には俺らとは離れた場所から声がした。

　四人部屋の入り口に凭れるように立って

　ニヤニヤしながら俺らの方を見てる。

裕「すばる、何してんねん？」

　俺も突拍子もない声が出て、

す「ハハ、裕、何焦ってんねんな」

　ニコニコしながら近づいてきて、

裕「なんやねん、こんな時間に何してんねん。仕事は？」

　当然そう訊くやろっていうもんやないの？

す「なんで？俺がここに居ったらアカンかった？」

裕「･･････そうやなくてやな。･･････なんでここに居るん？」

　う～ん。頭抱えるわ。

　もうちょっとだけでも、察してくれてもええんちゃうか？

　なんて贅沢なんかな。ハァ･･････。

す「分かってるわ。音楽会の打ち合わせや。
　今終わったからそれ亮にも教えたろって思って来たんやないか。
　次決まったで、亮」

　なんて笑てるし。

裕「なら･･････」

　そう言えやと言いたかったのに、

亮「え？いつ、すば兄いつなん？」

　思い切り食い気味に乗り出して聞いてる。

　それもそうやろな。

　これと言って楽しみのない病院の中にいて、

　一番の楽しみやし。

　それに亮の顔見たすばるも、ええ顔してるし。

す「ん？来週の日曜日やで。なんかリクエストあるか？」

　なんだかんだ言いながらいつの間にか亮のすぐ横に居るし、

　亮もすばるの手を握ってる。

　ちょっと待て。

　音楽会の前に、訊かなアカンやろ。

　何をのんびり話してん。