マイホームのpiece（かけら）～黄～ 3 (ページ35)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:111,496 hit

96-2　何？　：　章大side ページ35

.
亮「……章ちゃん。進君の病気知ってる？」

　亮に聞かれて、初めて自分が誰の病気も知らないことに気が付いた。

章「知らん。それが、なんなん？」

　言いにくそうに口にしたのは、

亮「俺が言っていいか分からんけど、進って脳腫瘍やってん。
　章ちゃんが知らんいろんな治療をいっぱいしてんけど、
　最近再発したって言うてた。
　めっちゃ悔しそうに。
　でも、また頑張るって言うてたんやで？
　でも、きっと……」

　言葉にならん亮が苛立たしくて、

章「だから、なんやねん。治療っていうのしたんやろ？それで！」

　イラつくわぁ。

　早よ言えや。

亮「……病気が手強かったんや」

章「意味分からん。もうええわ、聞いてくる！」

　と立ち上がると、

亮「亡くなったんや。夜に急に容体が悪くなって、
　それで、家に帰れたんやで。
　もう、痛くも苦しくもなくなって、家に帰ったんやで？」

　亮の目から涙が溢れる。

　その言葉で僕の体の動きが止まる。

　亮「看護師さんが言った言葉で、食堂にいたみんな……分かったんやで。
　こんなん初めてちゃうから。
　章ちゃんは初めてやけど、
　みんなそうやって帰る子……いっぱい見てきたから。
　やから、それを逆なでするような章ちゃんの言葉は、
　俺ら聞いてられへんかった。
　いくら知らんとはいえ、
　あそこであれ以上聞きたくなかったんや」

　涙声の亮の言葉が、

　僕の中で疑問を生んだ。

章「じゃあ、なんではっきり言わんの？
　はっきり言うたらええやん。死んだって。
　なんであんな言い方を……」

亮「聞きたないやん、死んだんやでって。
　それに他人事のように思われへんし。」

　悔しそうにしてる亮がいる。