92 夕食を食堂で ： 章大side ページ30
．
食堂に行くと、もう何人かが集まってた。
その中に亮の姿はなくて、そこで改めてみんなに聞いてみた。
章「ねえ、聞いてもいい？」
進「うん、なに？」
テーブルに肘ついて、コップを弄びながら返事をする。
章「食堂って、みんな来るんちゃうんやね？」
直「ああ、体調良くないと来れないし、食欲なかったら、あんまり来ないかな」
要「でも、食欲なくて、「食べて」って言ってくる子もいてるけど」
って冗談っぽく話す。
章「ふうん。でも、みんなが来るんちゃうんやね」
進「そりゃそうや、熱出てるとか、吐き気があるとか、起きられへんっていうのは当たり前やで」
直「ホンマ、ここに毎日来れるのなんて、骨折とか短期の入院の奴くらいやで」
と、呆れられた。
要「学校も同じやで。行ける子は検査がないとか、
ホンマに体調いい時だけやし、先生の許可がないと無理やもん。
毎日朝の検温で「いいよ」って言ってもらえないと、行かれへんもん」
進「ホンマや。俺、今日二週間ぶりに行けたんやで、
先週までずっと熱出て行かれへんかったもん」
直「ずっとベッドの上だけやったもんな。めっちゃ機嫌悪かったし」
進の顔を覗くように話すと、
進「悪かったな。やって、最初はしんどくて動かれへんかったけど、
最後の方はホンマに暇やったし。
そういう直正やって、動かれへん時に機嫌悪かったやろ！」
要「いい加減にし、もうええやろ。でも、なんでそんなこと聞くん？」
と三人の視線を感じて、戸惑いながら口にしたのは、
章「え？ 食堂にみんなが集まってないの、なんでなんかなって思ったから」
そっかぁ、と三人が頷いてる。
要「……亮君、たぶんやけど……結構しんどいと思うよ。
入院して一か月くらいたったけど、数えるほどしか食堂に来てないし、
学校では一回も見てないから」
僕の顔を見てから、申し訳なさそうに言ってくる。
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作者名：にと | 作成日時：2016年6月28日 15時
