2-2 ため息 ページ7
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「ああ怖い怖い。俺が雇い主やと一回確認した方がええかな」
ここには、マスターの俺と、
バイトが曜日替わりで何人か入ってもらってる。
曜日替わりなんは、
その方が学生は働きやすいかと思ったからで、
酒を出す店に未成年ってわけにもいかんし、
大学生は講義やらサークルやら
他にもバイトを掛け持ちしてるやつも居るし、
働いてくれてるのは学生だけやないけど、
俺んとこは都合のいい曜日で入ってもらってる。
シフトも組みやすいし。
時々体調不良とかで休むやつも居るには居るけど、
それは元々別日やけど、
都合のつく奴に入って貰ったりしてなんとか回してる感じか。
ただ、店の近所に大きな劇場があるから、
その帰りとかその舞台関係者とかに利用してもらうことも多く、
常連と呼べるほど通ってくれている人も多い。
すなわち、儲かるねん、これがな。
舞台観終わった人らって気が大きくなってるのと、
貴重な時間過ごしたっていうて、
特別な気持ちのまま酒を飲むって言うのは、
普段とは違うシチュエーションらしく、
高揚した時は財布のひもが緩くなるんやで。
舞台関係者においては、
裏方はともかく出演者に関しては、
案外金遣いは荒いねん。
ってことで、普段そこまで人が居らんでも、
家賃がどれだけ高くてもそこそこやっていけるねん。
「マスター。ちゃんと書いといてくださいね！」
事務室のドアの向こうから怒鳴るような声がする。
「分かってるって、うるさいわ、亮」
って
怒鳴り返したら、
ガチャッと乱暴にドア開けられて、
「うるさく言われたくなかったら、さっさと書いてください。
カウンターに置きっぱなしでしたよ」
って、バンッとこれも乱暴に、
デスクに叩きつけるように置いた。
「ッ……」
俺はきっと、バツ悪い顔をしていたのであろう。
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作者名：にと | 作成日時：2019年4月6日 12時
