2-1 ため息 ページ6
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数日後連絡が来たことには、
一か月後の千秋楽終わりに行われるという打ち上げには、
近くの舞台に出演するキャストやスタッフが集まるという。
当日になってみないと、
二次会に何人が集まるかは不明だが、
少なくとも若手を中心に二十人くらいにはなりそうで、
時間も思ったより早く二十時には二次会を始めたいと言われ、
その日は臨時休業で貸し切りにした。
「不況なんて、ああいう世界にはないんかな？」
ふと呟いた声に、
「信者みたいなのがいるんでしょ。そいう人間がお金を落とす限り、
不況なんてどこ吹く風じゃないですか？」
『景気低迷』とか
『失われた二十年』それだけやなくて
『異常気象』も相まった『不景気』なんて、
一般人には切羽詰まった現実も、
華やかなあの世界には
『他人事』なんやろな。
「でも、だからこの店もお客さん来てくれるんやし。
舞台終えた役者さんとかスタッフさんも来てくれるし、
そういう人目当ての、ただの人も来てくれはるでしょ」
なんてスタッフの言葉に、
「まあ、そうやけどな。なんか、その言い方気に入らんな」
イラついたのは、今更か。
「ええやないですか、ああいう人ら金額関係なく注文してくれるから、
毎回儲けるでって鼻息荒くなるし、
『稼ぎ時』なんでしょ、愚痴らないでください」
言われる内容がそのままで、
それに対して口を開けば、
また何か言い返されると無言で睨みつける。
「睨まんといてください。それよりマスター
お酒の注文書記入しといてくださいね。
後でって書き忘れはナシですよ。
先週はギリギリまで書いてなかったから、
俺が書かされたんで」
きつい言い方には、
俺がマスターでお前は雇われやと自覚あるんか疑わしいが、
内容は言い返せるようなものではなく、
実際忘れてたからな。
「おう、分かった分かった。今日中に書いとくわ」
「ホンマですよ！」
睨まれたまま視線を避けるように、
「ほな、奥で伝票整理してくるから、ホールの片付け頼むな」
事務室に引っ込んだ。
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作者名：にと | 作成日時：2019年4月6日 12時
