かけがいない光：黄・緒（いとぐち） (ページ47)

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18-2　フローズンマルガリータページ47

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　カウンターと厨房はドア一枚隔てただけやし。

　まあ、ドアが開いても厨房が見えへんように、
　暖簾代わりのカーテン掛けてるけど。
　何かしらのタイミングで、
　カーテン越しにでも会ってたかもしれへん可能性は捨てきれへん。

「あくまでも、可能性やろ？」

　忠義さんの手の中にある
　シャンパン・グラスはもう空になった。

　そのグラスのステム(脚)を撫でながら言うてる姿は、
　どこか頼りなげや。

「次は何を？」

　グラスを示すと、

「いや、もうこれで。というか、今のは、なんだったんですか？」

　空になったグラスから顔を上げた。

「ああ、今日のは、フローズンマルガリータ。
　さっぱりしてたでしょ？」
　

　そう言うと、お決まりのセリフが。

「その、意味は？」

　この人はいつまでも飽きさせへんな。

「『元気を出して』です。何となく、疲れてるように見えて。
　頑張ってはるんでしょ？テレビつけたらよう見ますよ」

　それには、

「ああ、夜のドラマですからね」

　俺が見れるんはそういう時間やし、
　まあ、最近よく見るようになった。
　それでも、この人はまだまだいけると思うんやけど。