かけがいない光：黄・緒（いとぐち） (ページ5)

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1-3　　ジントニックページ5

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「それなら、まだ詳しく決まってないから
　決まったらすぐ言うわ。でも、良かったぁ」

　なんて息つくから、

「幹事さんですか？」

「いや、違うけど、この辺に詳しいって言うたらどこか知らないかって聞かれて、
　思いついたんここしかなかった」

　苦笑いを浮かべる。

「ここだけですか？意外ですね」

　って言うたら、睨まれた。

「意外って、そんな遊んでる風に見られてたん」

　若干落ち込んでるように見える。

「そういう意味やなくて、美味いもん食べ歩いてると思っただけですよ。
　そんな落ち込まんといてください」

　カウンターテーブルに額をつけてる頭を撫でる。

「そんな子どもちゃうで」

　手を払われると、行き場のない手をヒラヒラさせて、

「そんなつもりなかったんやけど、気分を害したとしたらすみません」

　頭を下げると、

「ああ、こっちも、そんな謝って貰う事ちゃうのに。
　俺、酔っぱらってるな。もう帰るわ。ごちそうさん」

　金額だけ確認して空いたグラスの横に置くと、席を立った。
　ドアを開ける時のカロンッ！って音がすると、

「マスター、このどこか調子の悪そうな音、何とかしいや」

　とだけ言うと、ドアから出て行った。

「しゃあないやろ、これがここの音や」

　カウンターのお金を回収すると、グラスを洗い始めた。

　さて、貸し切りに対応せんとな。