15-1 出会い ページ39
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俺はこのまま一人でいるのが嫌だったと思ってたら、
タイミングよくかけられた丸の誘いに、ホッとした。
丸も同じ思いやったからか、
俺に対して気を遣ってくれたのかは分からないが、
俺にとっても渡りに舟だったのは間違いなくて、
俺が受け入れた時の、
丸のホッとした顔に安堵した。
丸が優しい顔をしてくれると、
何とも言えない安堵感がある。
時々亮ちゃんと一緒に居るのを見てたし、
この人は優しい人なんやろなって、
勝手に思い描いていたけど、
間違いではなかった。
時々俺が出てたコンクールにも来てくれたことがあったのを覚えてる。
その時も優しい顔を見せてくれていた、
話をしたことはなかったけど。
視線を落とすと視界に入る、
手の中にあるカップから立ち上る湯気が、
優しい香りを俺の鼻まで連れて来て、
俺の心にあの時の記憶を呼び起こした。
昔、と言っても九年ほど前のことやけど、
俺は歌を習いに行っていた。
ついでのような扱いで、
当時は面白くないのにピアノも習わされていたのだが、
それでも続けた理由は親に言われた
『ピアノが弾ける男は格好いい』
それしかなかった。
もちろん、好きではなかった。
いや、むしろ嫌いだった。
だからこそ、
ピアノが弾けるだけでモテるって訳でもなかったから、
さぼり気味だったのは当然かも。
こんなオタマジャクシを音にするってなんなん？
くらいの気持ちしかなくて、
個人レッスンの控室でも、
ピアノを弾くというより、
ピアノの鍵盤を適当に叩いて、歌を歌ってる方が多かった気がする。
そんな時に、
「お前、歌上手いやん」
って、声をかけられた。
でも、その後に、
「ピアノめっちゃ下手やけど」
笑い声が続いてた。
なんや嫌味か？
「習い始めたところや！」
不貞腐れたように言うたら、
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作者名：にと | 作成日時：2019年4月6日 12時
