7-1 臨時 ページ21
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いつも通りの営業中。
今日はたまたまいつもくるバイトが休んでるから、
臨時で来てもらったんが、この日を休む奴やけど、
「マスター、今日の仕入れこれだけですか？
鶏もも肉ないんですけど、
俺の賄い唐揚げって知ってますよね。
なんでないんですか？」
と、文句垂れとる。
しかも、
「ああ、焼きそばがぁ！」
と叫び声まで。
裏を覗いて、
「どないしてん、大声出して」
と、そうなるやろ？
で、返ってきた答えが、
「ソバがない！」
やで、うっさいわ。
……涙目で叫ぶなよ。
「はいはい、なら、買って来てええで」
って言うてまうやろ。
「ホンマ？」
と、こいつ、こういう文句言う時、
いつでもタメ口やし。
けど、目をキラキラさせて、
おまけに上目遣い、とは……。
「ああ、ホンマ。行って来い」
と、金渡すと、
「いってきます」
お金を大事そうに抱えて、飛んで行ったし。
どんだけ好きやねん。
いつまでも不機嫌で居られるんも嫌やし、
かといって、
あいつめっちゃ役に立つねんもんなあ。
やめさせるなんて、絶対ないし。
あいつが笑ろうてたら、
こっちも嬉しなるし。
BGMが良い感じで流れ、
良い感じで客も乗ってくれて、
静かに時間が流れていく。
ここには、平穏無事って言葉がぴったりな空間が存在してる。
のに、
なんでこいつ不機嫌やねん。
あれから唐揚げ作って焼きそば食べてって、
機嫌よかったやん。
なんも問題起こってないで。
なのに、なんで開店してからこんな不機嫌やねん。
「マスター。はい、これ！」
注文の品持ってくる度に、
どこかトゲがある。
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作者名：にと | 作成日時：2019年4月6日 12時
