5-3 注文 ページ16
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「朝一ですよ。そうやないと、酒来ないかもしれませんよ」
「はいはい、朝一な」
適当に返事をすると、
「朝一って、こっちの店開ける時間やなくて、
ホンマの朝ですから、わかってます？」
確認してくるとこ、なんか気に障るけれども。
ここは、こっちが大人なとこ見せとこか。
「そんなん分かってるわ。起きたら連絡するから。それでええやろ」
「起きるん、いつですか？」
わぁお、冷た。
速攻で返ってきたし。
「朝、やで、もちろん」
返したで、
でも、
「十時には、起きてくださいね」
と、念を押されるし。
「十時ってなんでその時間？」
あそこって、確か十一時開店やで？
「ああ、あそこ朝一で配達行って、
帰って来るんが十時なんで」
とは、まあ、事情を良く知ってはること。
「へえ、配達行ってるんや」
「みたいですよ。帰ってきてから開店準備するらしいです」
と、これまた情報ツウなことで。
「そうか、なら十時やな。分かった。
明日朝一で連絡入れるわ。今日はありがとな」
と、いうと、いぶかしげに見てから、
「ほな、俺もう片付け終わったんで。帰りますんで」
と、あっさり行こうとする。
「ちょい待ち。なんや文句ばっかり言うて、
そんなあっさり帰んな」
首根っこ捕まえたら、
「グヘッ」
って、いかにも苦しい表現しよるから、
「そんな引っ張ってへんわ。大げさな」
突っ込み入れたら、
「そんな言うても、苦しいもんは苦しいです」
と、芝居は認めよった。
「で、なんでお前はそんなに酒屋の事情を知ってんねん」
って言うたら、
「別のバイトもそこから仕入れとって、
色々詳しくなったんです」
と、これもあっさり認める。
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作者名：にと | 作成日時：2019年4月6日 12時
