秘密にしてたもの

17話 ページ18

カランカラン。
道場に響き渡る。木刀が刀だったら、Aは既に死んでいたと思う。

A「…」

しのぶは声をかけようか迷っていたらAが動き出した。

A「闇の呼吸 拾壱ノ型 天領拡張」

Aは得意分野の体術でカナヲに攻めてかかった。
呼吸の大体の予想はつくから、なるべく下を意識している感じだ。

しのぶ「…」

カナヲが倒れ、その上にAが乗っている。今にも殴りかかりそうだったのでしのぶが止めた。

しのぶ「はい、お疲れ様です」

声を聞いたと同時に2人とも立ち上がる。

カナヲ「ありがとうございました」

しのぶ「これから任務でしょ？」

カナヲ「…」ｺｸ

しのぶ「お気をつけて」

カナヲ「…行ってきます」

カナヲはそのまま任務に行ってしまった。
かなりの沈黙が続いた。
















A「僕は鬼の頸が切れない、もうわかったでしょ？」

しのぶ「はい、ですが体術は素晴らしかったです」

A「体術なんて、極めても殺せなきゃ意味無い」

しのぶ「…夢望さん、貴方…」

A「…」

しのぶ「カナヲのこと、殺しに行こうとしましたよね？」

A「…うん」

しのぶ「どうしてですか？」

A「剣術が使えて羨ましかった」

しのぶ「それだけで人を殺めてはダメです」

A「分かってる…これでわかったでしょ」

しのぶ「何をですか？」

A「僕が弱いこと」

しのぶ「…」

しのぶが口を開くことは無かった。少しはあるとか言って欲しかった。もうダメか。。。

A「…カナヲさん、あの斬撃凄かった…まだ痛いし」

しのぶ「後で見せてください」

A「いいよ、血とか出てないし」

しのぶ「それでもダメです」

A「ちょっと外で涼んでくるよ」

しのぶ「もう暗くなっているんです、家で安静にしてください」

A「…」

Aはそのまま玄関から外に出て歩き始めた。
森の中を進んで行き、とても大きな木があったため1番上まで登った。

A「いい景色だな、カナエにも見せたいくらいだ」

A「カナエ、もう僕には無理だよ、守れないし、剣技も上手くない」

後ろから物音が聞こえてきた。

しのぶ「探しましたよ、夢望さん」












A「…もう死にたいよ」

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