この想い届けば２ (ページ3)

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北山side

「おい！玉っ！！」

楽屋に続く廊下を歩いていると突然、藤ヶ谷の声が響いた

俺は焦ったような藤ヶ谷の声を聞いて急いで楽屋に入った

いや、正確には、入ろうとした

ドアノブを捻り細い隙間から見えたのは、藤ヶ谷が倒れている玉にキスをしているところだった

俺は昔からあいつのことが好きだった

本人に気持ちを伝えたい、でも同じグループとしてそんなことは出来ないし、メンバーに迷惑をかけてしまう

そんな思いが俺を止めていた

でも、俺は気付いてなかったんだ

2人が惹かれあっていること、お互いが思いあっていること

目の当たりにしてようやく分かったよ

なんで
俺の気持ちに気付いてくれないんだよ、藤ヶ谷…

「北ミツ？どうしたの？…玉！」

楽屋に入ろうとしていた宮田が俺を押しのけて玉のもとに駆け寄る姿が見えた

玉、玉って呼びかけて何があったの！？って藤ヶ谷に呼びかける宮田が見える

藤ヶ谷は何も答えない

なんなんだよ、答えろよ

俺はこの目で見てたんだぞ
俺が言ってやろうか

玉にキスしてた、って
藤ヶ谷は玉のことが好きだ、って

お前の口から言えよ

そしたら俺はお前を諦めることが出来るのに…！！

･

･

気付いたら宮田に包まれていた

「み、やた...？」

周りを見ればソファーに玉が眠っていて、周りにメンバーが集まっていた

なんで俺は宮田に抱きしめられてるんだ

なんで俺は、

泣いてるんだ…？

「あれ、おれ、なんで泣いて、？」

俺の涙は止まるどころか、宮田の服をどんどんと濡らしていった

「北ミツ、ちょっと出よっか。」

俺の顔を覗き込み、優しい顔でそう問いかけた

宮田の後ろについて楽屋を出る時、一瞬後ろを振り返った

藤ヶ谷は一切俺のことを見ず、玉のことをずっと見ていた

俺の中で何かが壊れる音がした