六話『とんだ日になりそうだ』再生 匠side ページ7
どうしよう
そんな事を呟いて焦る僕。
そんなに焦る理由は何かというと、船に乗るための準備だった。
誘導はほかの先生に任せてあるが、保険医として準備しなければならないことは沢山ある。
そして、前日に準備をするのを忘れて今に至る…という訳。
「ええと、バケツに、酔い止め、ライフジャケット、絆創膏、包帯、ガーゼ、テーピング……あれ？」
真っ黒のポリ袋がない？！
「うあぁぁぁぁぁぁぁ………急いで買いに行かなきゃあ、」
急いで一番近くの薬局でポリ袋を購入し、急いで船着場まで走る。
息を切らして慌てる僕の姿はただの変態にしか見えないだろう。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
ｰｰｰｰｰｰ
荷物確認は終わった。あとは、荷物を船に乗せるだけ……
「あの、すみません…この学校の保健師なんですが…荷物を船に乗せたくて……」
「再生 匠様ですね。ヒーロー証を確認させてください。」
「はい、ヒーロー証は…………」
無い……？財布に入れてたはずなのに！
嘘だ嘘だ、と焦ってポケットというポケットを漁る。
白衣の中からポロッと落ちて出てきた。
「あった……はい。」
「お預かりします。…確認いたしました。どうぞ」
「ありがとうございます。」
と一礼をして荷物を船に乗せていき、すべて乗せ終わったときにはもう体も頭も疲労し切っていた。
まだ一日は、始まったばかりなのに……
荷物を船に乗せてもまだ仕事は残っていて、むしろ本業はこれからで。
船の放送機器を借りて疲れきった声でいう。
「生徒の皆さんに連絡をします。これから本校に着くまで約3時間ほどあります。乗り物酔いをしやすい人は……えと、近くの係員に連絡をして船が出発する迄に私のところまで来るように。また、移動中に怪我、体調不良になった時もすぐに近くの係員に連絡をして私のところに来るように。以上です。」
ﾌﾟﾂｯと放送機器を切ってから大きなため息を付いて医務室に向かう。
ここから3時間、そこからまた学校で色々な手続きのための何時間か………
………はぁ、とんだ日になりそうだ………
七話『え、嘘でしょ』野鎌旋side→←五話『まぁ余裕…だよね？』筆跡絵side
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作者名：西宮高校関係者一同 x他6人 | 作成日時：2018年2月3日 23時
