【ヒロアカ】来たれ、西之宮英善寓寺学園！【小説】 (ページ11)

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十話『絶世の阿呆』乱望side ページ11

乱望は、阿呆である。

具体的には、最早“美女”の枕詞とさえ思われていそうな、絶世と言う言葉を使える程に。

改めて言おう。

乱望は、絶世の阿呆なのだ。

少なくとも、

｢南の西宮？方位が二つも出てくるの？？

フッ……。そのセンス、気に入った！｣

そうキメ顔で言って、家から近いと言う理由で、国内最難関に数えられる高校に入学する程度には。

念の為言っておくが、裏門入学なんてセコいことをした訳では無い。

コイツは、阿呆であって馬鹿では無いからだ。

馬鹿と言うのは、頭自体が残念な奴。

阿呆と言うのは、頭は良いのに考えない奴。

どの道質が悪い事には変わらないのだが、彼女に関しては気にしても疲れるだけだろう。

そんな訳だから、勉強は出来てしまうのだ。

閑話休題。

既に受付を済ませ、座席に落ち着いた乱望＿＿＿面倒なので、あだ名で呼ばせてもらおうか。

マドは、船内に持ち込んだ鞄の中からゲーム機を取り出した。

次いでヘッドホンが登場する。

ここまでくればお分かりだろう。

この阿呆は、ゲームをしたいのだ。

そろそろ殴られたとしても文句は言えない。

船内にはWi-Fiが飛んでいたので、有難く拝借し、最近発売されたばかりの“一狩り行こうぜ！ｰワールドｰ”を起動した。

なお、著作権の関係上、名前は雑にボカされています。

まだ全クリしてないんだよね、そう思いながらゲームをプレイしているマドを、周りの人達は物凄い目で見ていた。

いくら何でも自由過ぎる。
だれもがそう思った事だろう。

こっちは緊張してるのに、ボコしてやろうか？
そう思った人も中には居た事だろう。

だが、思っただけで本人に伝わる訳が無い。

この阿呆は、やる事成す事ぶっ飛びすぎていて、注目を浴びるのにも慣れていた

鼻歌……を歌わない程度の常識はあったようで、静かに、それでも楽しそうにゲームを進めていった。

この有様なのでもう分かりきってはいると思うが、念の為もう一度言っておこう。

乱望は、阿呆なのだ。

少なくとも＿＿＿

船酔いする癖に、ゲームを始める位には。

｢(……あ、ヤバいちょっと気持ち悪い)｣

因みにキラキラを出す事はなかったが、代わりに個包装された飴ちゃんが出てきた。

汚いっちゃ汚いが、マドの個性は、こう言う時に便利だ

……黄金のミルク味だったのがなんとも嫌だったが、飴に罪はないので食べた。