【ヒロアカ】来たれ、西之宮英善寓寺学園！【小説】 (ページ2)

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一話『船の上』糸巻千種side. ページ2

。

「気をつけて行ってこい。」

初めて俺の目を見て言った父親の言葉がひどく頭に突き刺さっていた。

＊＊＊＊＊

うーみーは広いーな。おーおきーなぁー。

なんて。頭の中で歌いながら港から見える微かな水平線を見つめて腕時計を見つめた。
先に船の中へ連れて行かれるキャリーケースの無事を思いながらその時計に表示されている”10時47分”という文字を見つめて搭乗口前に立っているお姉さんに声をかけた。

「お姉さーん。俺、糸巻千種ってゆーんだケドォ」
「西之宮英善寓寺学園ヒーロー科合格者、糸巻千種様ですね。
受け付けております。事前に郵送されている生徒手帳をお見せください。」
「はァい」

ポケットから手帳型の生徒手帳を取り出してお姉さんに渡した。
まぁ、お姉さんっつっても見た目厚化粧のおばさんなんだけどネー。

お姉さんって呼ばれたのに気を良くしたのか、おばさんは書類3枚と生徒手帳を僕に渡してくれた。

「糸巻千種様はヒーロー科1年A組への所属が決まりました。
出航までは決められた座席に座って待っていてください。
出航後、船員からお声がけをさせて頂きますのでその後はご自由にして下さい。」
「ありがとうございマース」

生徒手帳をポケットに突っ込んで、紙を見つめながら思わず顔をしかめてしまった。
えー？3時間以上も船の上とかチョー飽きンだけどー。無理ダヨー。

フェリーに乗り込んで見れば、案外広々としているように見えて座る場所っていうのはいわゆる食堂だ。
フェリーっていうよりも客船って言った方が正解じゃないノー？

周りのモブを見渡しながらきになる人間を選別しつつ、携帯を見つめる。
あぁ、従兄弟が煩い。彼奴は雄英に入ったことを自慢そうに言ってくるけど正直どーでもいいわ。

早く出発しねーカナぁ、なんて思いながら俺はただぼんやりと周りを見つめていた。