気分が良いだけ ページ6
『とんとんさぁ〜ん』
tn「わ、何？どしたん！？」
『此処退屈なんですよぉ〜』
tn「あー…何か要るもんあったか？」
『モコちゃ』
tn「ん？」
『私の愛犬を連れてきて下さい』
グルッペンが書類を進めているのを横目に、トントンさんに話しかける。
娯楽がなさすぎる訳じゃない。本やボードゲーム、何よりドレスを眺めるのが楽しい。
でも、我が愛犬が心配なんだよ！！
『私の愛犬を連れてきて下さい』
tn「犬飼っとん？家何処や？」
『私の愛犬を連れてきて下さい』
tn「おん。ちょっと地図出すな…」
『私の愛犬を連れてきて下さい』
tn「わ、わーったわーった！！連れてくるから！！」
そう言って部屋を出て行ってしまった。――出て行ってしまった…？
嘘だろ此奴と2人になってしまったまたしても！！！
バッとグルッペンに目をやると意外なことに真面目に書類を進めていた。
何だ、こうして見ると普通に…。
gr「……何だ？」
『っ――！？///』
gr「何！？どうしたどうした！」
『なっ、何でも無い！！//』
何で此方見てんのさ！
何とか誤魔化せた、だろう。
もう一度グルッペンの方を見るとニマニマと笑っている。
『な、何？気持ち悪いな』
gr「お前、今俺に見とれてたんだろ」
『っ、はぁ！？//』
gr「やっぱそうだろ！！」
『そんなんじゃない！自意識過剰なんじゃない！？//』
gr「ツンデレだ！！！！」
『ち、違う！そんな子供みたいなからかい、痛くも痒くもないわ！』
ツンデレだー！と叫びながら書類に向き直る彼。
ホント残念イケメンだな！！
『本当扱い難い奴だな』
gr「お前はわかり易すぎるんだ。そんなんじゃ悪い虫が付くかもなー」
『何様だよ』
gr「ん？総統閣下様だゾ、おおん？」
『わーそうとうかっかさまー』
gr「酷い棒読みだなｗ」
『速く書類やっちゃいなよ』
もう終わる、と呟いてまた進める。
――睫毛長いな。
髪サラッサラだし肌も綺麗でスタイル抜群。
凄いモテそう。
見た目だけならどストライク。
見た目だけなら。
彼を眺めているとたまに此方を見ては視線を書類に戻す。
頻繁にではないが何回かあった動作だ。
何か気になる？
『何？』
gr「いや……か、」
『？』
gr「髪を、撫でたいんだが」
『はぁ？』
どんな趣味だよ。
ああそうか、私の髪って珍しいんだっけ。
『いいよ』
gr「えっ、良いのか！？」
『10秒ね！じゅーう、』
そう言うと慌てて髪に触れる。
とても優しい手付きで。
gr「もう終わりか」
『……まだ良いよ…』
gr「！？」
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
