【d!】お姫様は逃げ出したい！！ (ページ47)

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どうやって？ページ47

別に、良かったのに。というか迷惑かけたくなくて此処に来たのに結局かけてるじゃないか。
分かってよ…。

「A様、王がお呼びです」
『…はい』
王「どうやら我々国が攻めてくるらしいのだが」
『そうですか』
王「何か知らないか？」
『何故、ですか』

私が我々国から来た事は伝えていない。記憶喪失と言う事にしている。
普通私に聞いても分からないと思う筈だが。

王「何故か、だと？お前が嘘をついている事はとうに分かっているんだ」
『………何の事でしょう？』
王「…隠しても咎めんが、我々国について知っている事を話せ」
『記憶が無いと言った筈です』
王「言う気は無いという事か」

納得がいかないような顔で私と会話をする。私は何をされても彼等の事を話さない。
彼等には世話になったのだから。

王「まあいい。暫くは戦争で忙しくなると思う。もしかしたらお前にも力を借りる事になるかもしれん」
『お力になれないと思いますがそれでも宜しければ』
王「…見回りの兵をやったのがお前なのは分かっているのだが」
『何を仰っているのか分かりませんね』

此奴の言う事には反応しないと決めた。この戦争が終わればどうせ身を囲われる事になるのだろうし。
ああ、こんな事なら。

「国王様、敵が1人城内に侵入しています！！」
王「何！？速く殺せ！！」
「それがかなりの強さでして…」
王「関係ないわ！」
『……焦ってらっしゃいますか』
王「黙れぇ！」

勿論手を挙げられるのだが、痛いのはもう十分だ。魔法で弾き、尻餅をついている其奴を見下ろす。

王「お前、逆らうのか…！？」
『弾かれただけで済んだとお喜びになって下さい。貴方を消し去るくらい、造作もないことですので』
王「………くそ」

私はこの国の貴族の血だし、白髪赤眼だ。魔力が人より多く、魔法だって元から使えた。
聞いた事が無いように振舞ったのも、彼等に私が貴族の出だとバレたくなかったから。
でも、きっともうバレているだろう。

王「お前は此処にいろ！」
『…分かりました』

私を置いて部屋を出ていった。一応囚われの身、という事になっている筈だが私が自分から来たといって信用しすぎではないか。
このタイミングで私が逃げる事は考えなかったのか。

「ﾁｯｽﾁｯｽ」

―――此処は城の中の最上階、8階の筈なのだが。

『……全く、言う事聞いてくれない人達だな』

その緑のパーカーに描かれた"くりーぱー"という生き物の顔は、心做しか笑っているように見えた。