嘘つき ページ42
gr-side
会議室に机を叩く音が響き渡る。音の主を見る者は誰もおらず、皆頭を抱え思考を巡らせていた。
tn「くそ…何で何処にもおらんのんや」
gr「落ち着けトン氏」
sha「北にはおらんかった。シッマとゾムも見つからんかったらしいで」
tn「てことは……」
東に行ったのだろう。だが、アンリードに因縁のある彼女がわざわざ東に行くだろうか？
我々に迷惑をかけない為に行ったという説もあるが。
gr「鬱、アンリードでの情報を集めてくれ」
ut「ええけど……ホンマに？」
gr「恐らくな」
zm「アンリードやろ？絶対行かへんって！」
tn「グルさん、何かあるんか？アンリードには……」
彼女からは口止めをされている。此処で破ってしまっては彼女は此処にいたがらないだろう。
gr「実は話をしたんだ。内容を言う事はできないが、かなりの確率で彼女はアンリードにいるだろう」
rb「俺も情報収集するわ」
ut「ちょっと行ってくるわ！」
gr「頼んだ」
アンリードにはツテがある。もしかしたら情報が入るかもしれんな。
通信機を手に取り、暗号を打つ。
[……はい、くられ先生のお知り合いですか？今先生留守で…]
gr「っ、A！？」
[えっ、グルッペン！？嘘…！]
gr「お前まさか科学研究所にいるのか？」
[なん、の事…？]
くられ先生と面識があったとは！それでアンリードに行ったのだな。
ああ、すぐに見つかって良かった。
gr「そこにいろ。迎えを出す」
[こ、来なくていい]
gr「行く。というか何故抜け出した。俺達が守ると」
[―――いな]
gr「何？」
[……うるさいな。私が何処にいたって私の勝手でしょ]
そう言った彼女の声はとても冷たかった。先程まで一緒にいて笑っていた人物とは思えない。
何が、あった。
[兎に角、本当来なくていいから]
gr「ちょ、待っ((ﾌﾞﾁ」
tn「グルさん…？」
gr「情報はもういい。場所が分かった」
ut[ホンマに！？俺が出かけた意味は！？]
rb「無いなぁ」
ut[そんなぁ……で、何処におったん？]
gr「アンリードの科学研究所だ」
その言葉に全員が固まる。インカムからは[はは、嘘やろ]と鬱の声が聞こえる。
誰もくられ先生と知り合いとは思わなかったのだろう。まああの人と知り合いで正常なのは珍しいからな。
pi[マジっすか。向かいます]
gr「彼奴、来なくていいと頑なに断ってくるのでな…警戒を忘れるなよ」
pi[了解]
zm「捕まってはないんやな」
gr「アンリードやから危険な事に変わりはないがな」
ショッピが着くまで無事で頼むゾ……！
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
