彼女は何処へ ページ40
gr-side
gr「だがアンリードが…」
tn「これはほんまやと思うで」
gr「疑ってはいない、が」
タイミングがタイミングだ。Aと話をしたばかりだゾ？
ここで平和条約を持ってくるとは…何を企んでいるのか知らないが彼女が生きていることがバレたのが濃いか。
gr「まさかな」
tn「…？」
そういえばAが何か良いかけてた気がしたが…。まあ後でいいか。
gr「条約なんだが、受け入れよう」
tn「おん。…因みに何でや？」
gr「まず断る理由が無いからな。関係を持っておいて損はないだろ。それに、裏切るならあちらからだゾ」
tn「その確証はあるんか？此方から裏切るかもしらん」
gr「それは無い。…まあ彼女が嫌がれば条約を結ぶことすらやめようと思うが」
tn「Aが？」
誰にも言うなと言われているのでああ、とだけ言う。トン氏は不思議そうにしていたがそれ以上は聞いてこなかった。
tn「じゃあさっきの話の通りでOKやな」
gr「うむ。速く戻ろう。Aが一人や…」
tn(何だかんだ言って気にかけとんなぁ)
トン氏と2人で執務室に向かう。彼女ならもう力加減はものにしているだろうか。
入った途端に飛びついてきたりしてな。
gr「……っ」
だが現実はかなり厳しいようで。
部屋に残っていたのは彼女が変形させた石。
gr「嘘、やろ」
tn「窓から出たんか…？いやでもこの高さは死ぬやろ…」
gr「もしあの時間で重力魔法を使いこなせたなら、飛ぶことも難しくはない」
tn「っ、まさか」
その可能性が高い。だが何処に行くというのだ。
此処にいろと、言ったばかりだろう…！
gr「くそ…！幹部全員に告ぐ！Aが逃走した。重力魔法を使っている可能性が高い。直ちに捜索を開始せよ！」
rb[俺はインカムの位置調べるわ！]
kn[また魔法使えるようになったんかぁ！？]
sha[俺北方面探すわ]
gr「分かった。ではシャオロンは北、コネシマは西。ゾム南。東は…ショッピが行け」
pi[了解]
zm「南やね、おけ」
kn「分かった！！」
tn「東っちゅうたらアンリードやろ？いくら何でも…」
行くはずない。分かっている。だからショッピなのだ。仕事だけを済ませて帰ってくる彼奴なら、帰ってこいと言えばそうする。
それにアンリードは本当に遠い。
gr「アンリードまでは行っていないだろう」
tn「それもそうやな」
いや、決めつけるのも良くないから捜索は命じたのだが。
何かあってからでは遅いんだゾ…！
gr「速く帰って来い……！」
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
