覚えが速い ページ38
you-side
『っちょ、頭下げないで！！』
gr「本当に、感謝している。まさか1日で治療を終わらせてしまうなんて」
『まあ、皆今すぐにでも…って状態だったし』
何より、その時救えた筈の命が助けられなかったなんて事があれば、きっと私は耐えられない。
自分の為でもあるんだよ、だから頭を上げてよ。
gr「見苦しい所を見せたな。で魔法を教えるということなのだが、俺の得意な分野からで良いか？」
『何でもいいです、先生！』
gr「せ、先生…？」
『教えてもらうから』
gr「まあいい。俺の魔法は…庭でやるか」
それから中庭に出て、グルッペンの魔法とやらの説明を受ける。
これはグルッペンが見つけ出した属性らしい。
gr「俺が主に扱うのは、"重力"だ。お前にも何度か使っている」
『ん？そんな場面あったっけ？』
gr「お前を襲おうとした時だな」
『あー確かにびくともしなかった…って、碌な事に使ってねえな！』
gr「まあ見とけ」
そう言って彼が拾ったのは手に乗るくらいの石。それをどうするというのか。
見ていると彼は少し笑ってよく見ていろ、と言った。
そして、石は一瞬でペラペラに…！？
『ぅえ！？』
gr「と、石を潰すことから始めてもらう」
『できるかな…』
gr「俺にとっては治療魔法を覚えるよりは簡単だゾ」
『よし、頑張るぞー！』
グルッペンに言われて手頃な石を拾って部屋に戻る。この練習自体は何処でもできるから、離れない為に部屋でやるらしい。
『んー…重力は…治癒魔法みたいに魔力流し込むとかじゃないし…』
gr「似たようなものだ。空間に溢れている魔力を利用する。意味さえ分かれば後は感覚だな」
『生き物だけじゃなくて空間にも魔力があるのか…！』
gr「力加減は良いから先に重力を使えるようになれ」
『サーイエッサー！』
そうは言ってもかなり難しい気が…正直治療魔法のが楽だったぞ？
そもそも空間にある魔力を感知しないと…。
『あ』
gr「ん？」
『この…フヨフヨ、光ってるのがそうかぁ…』
gr(此奴、遂に魔力が視認できるように…！？)
『じゃあこれを……こう、グッて』
メキョ
『おっ、できた！』
gr「マジか。お前ホント色々規格外だな…」
『次は、力加減だよね？』
gr「そうだな。ちょっと待てよ」
窓の下を覗いて何かしている。…いや、見ている…？
手を出すと、その中にパシッと何かが収まる。彼が手渡したものは、石。
『か、かっけえっす兄貴！！』
gr「お、おう…すぐできるようになるゾ」
『よぉーし、頑張るぞ！！』
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
