生きて、生きて生きて ページ35
『大丈夫ですか？今から治しますから、ゆっくり力抜いてください』
「っ、殺して、くれ」
『大丈夫です、すぐに楽にしますよ。深呼吸、ゆっくり…吸って……吐いて……』
「……？痛く、ない」
『治りましたよ！少し動かしたら医療所へ行ってリハビリしてください！』
それから繰り返しお礼を言われる。言われた事を、しただけだ。
「ああ、お迎えが……女神様が来た…」
『私は人間ですよ、お気を確かに！』
「次は戦争のない、幸せな暮らしを……」
『怪我を治します。家族の事を忘れないで、しっかり！』
「家族…そうだ、嫁さん……」
『奥さんの事考えててくださいよ！』
それから今度奥さんを交えて食事をしたいと言われた。奥さんとの再会を喜んでね。
『意識がない……！お願い、生きて…！』
「！？ぁ、はあ、はあ……」
『大丈夫ですか？ご自身のお名前言えますか？』
「は、い……っ、俺、助かったのか！」
『ほら、笑ってください！生き残りましたよ！』
それから手がちぎれそうな程握手を強くされた。生きてて、良かったですね。
『3人同時で行きます！』
「もういいです…！」
「俺も、死ぬんだよな…？」
「あ、ああ…っ、死にたくねぇなぁ……！」
『死なせません！生きて、生きる事が人間の宿命ですよ！』
それから3人同時にプロポーズされた。もっと良い人沢山いますよ。
「切り離した足を、戻せますか…？」
『…っ、できるだけ、やってみます』
「治らなくても、大丈夫です。すいません、無茶言って」
『いえ！……足に魔力注ぎ込んで、丁度のところで合わせたら……！』
「嘘……っ、ああ……！あぁあ、ぁぁ……！！」
それから次は貴女の為に戦いますと言われた。無理しないで。
「貴女が、治してくれるんですか？」
『治してみせますよ。…両手の損傷』
「ああ、これでまた、彼女に会える……」
『すぐに会いに行けますよ』
「っ！嘘だろ…腕が、元通りに…」
それからこれからは普通の国民として彼女と生きますと言われた。その方が幸せだよね。
「やっと、俺の番…」
『お待たせしました。貴方で最後です、本当にお待たせしました』
「あんたは本当に全員治してくれた……俺なんて治さなくたっていい」
『そんな訳にはいきません。必ず、治します』
「俺は目が見えないがそれも治せるのかい？」
『魔法は、使い方によっては何でもできますから！』
それから魔法、習おうかなと言われた。難しいらしいですよ。
ほら、また笑顔が増えた。
私は意識を手放した。
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
