【d!】お姫様は逃げ出したい！！ (ページ31)

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約束したんだページ31

sn「Aちゃん！？その本は……！」

ペ神が此方に駆け寄ってくるが、其方を見ることすらできない。
この本にはどれ程の力が込められているというのか。

―大丈夫。すぐに読み終わるから。

本当に、早くしてよ。

―ええ。あなたの両親があの"お客さん"を殺して、死体を隠して……"お客さん"の関係者が探しに来たのよ。

ああ、そんな事もあった。私は家をくまなく探されるのを呆然と見ていただけだが。

―あの時死体が見つかったの。あなたは祖父母に引き取られたけど、あの後両親に会えなかったのがどうしてかあなたは知らない。

知らないね。私の事を捨てたんだとばかり思ってたけど、違うの？

―2人はあなたの事を助けたかったのよ。まあ死体が見つかって死刑判決を受けたから……それをあなたに知られない為に祖父母の所にいたのよ。

死刑……今そう聞いても、納得できないなんて事はない。
寧ろ、簡単に受け入れてしまうのは、小さい頃に別れたからだろうか。

―あなたの為に、善意で戦った2人は、悪とされてしまった。あなたがそんな見た目だから。両親は知っていたのよ。白髪赤眼への対応の酷さを。

そんな気は、薄々していた。そこまで察しの悪い人間じゃない。

―だから、あなたが殺した。両親は、あなたに殺されたのよ。

否定しようとは思わない。私がそれを知っていたなら、同じように考えたろうから。

―じゃあ、次のページに行きましょう。

"あなたは自分の気持ちに素直になれない"

―遂にここまで来たのね……そんなに時間はかからなかったけど、長い時間を過ごしたみたいね。

そんな事はないよ。とにかく、早く進めよう。

―何をそんなに急いでいるの？そんなに、彼らとお話したいのかしら。

彼ら……は、幹部の事？別に、そんなんじゃないよ。

―嘘をつかないで。素直になって？あなたは、自分の居場所を見つけたんでしょ？自分の事を心配してくれる人を見つけたんでしょ？

確かに彼らは私の事を心配してくれる。私に居場所だってくれる。
だから何？私は、彼らの元に帰りたいんじゃない。家に帰りたいんだ。

―でも、あなた負けたじゃない。今更そんなこと言うのね。

負けたは負けたけど、帰らないとは言ってないし。グルッペンの傍にいろっていうのも実際結構辛いんだけど。

―…帰る場所もないのに。此処にいればいいじゃない。守ってくれるわ。

ゾムと同じ事言うんだね。帰る場所？作ればいいん。それに私はあの子供達の所に行かないといけない。