壁 ページ24
『えっ、はぁ？』
zm「当たらんかったかぁ……」
魔法だ。そう思い、隠れるように木の裏に回る。
zm「隠れて意味あるん？なあ、なあ。俺、お前のこと結構気に入っとんやで、なあ」
そう言いながら少しずつ近付いてくる音が聞こえる。私はどうやら、昔から耳が良いらしい。とても、嫌だけれど。
zm「あっ、何で逃げるん？なあ、捕まってくれたら楽やのに！」
『逃げないわけないんだよなぁ！』
振り返る暇はない。先程の魔法が当てられないように、木々の間を縫って走る。
ゾムが舌打ちするのが聞こえ、同時に足音が消える。
『痛っ！？』
バチンッと大きな音がし、足が動かなくなる。自身の足を見ると、罠にかかって、血が出ている。
まさか、これも仕掛けていたというのか。
zm「え、何やそれ……ラッキーって事でええんか？」
『……？』
ゾムが知らないという事は、他の誰かが……この森は立ち入り禁止だから一般人がしたという事はないだろう。
それと共に、3つ目の気配が。
chi「ああ、かかってくれて良かった。追いかけるの面倒なんや」
zm「チーノやん。これ、これお前の魔法か…！」
魔法はこんな事もできるのか。確かに、初めは何も無かったのに足を着いた瞬間に現れたんだ。
魔法が使えるのと使えないのでは、かなり違うと言う事か…。
chi「じゃあ、俺の手柄ってことで〜」
『っ……』
チーノが近付いてこようとするのを見て、咄嗟にしゃがみ罠に手をかける。
外せなくても、このまま走るしかない。
zm「それはダメや！此奴は、俺が捕まえるんや！」
chi「何言ってるんや……」
これは、時間稼げるんじゃ……？
罠にかける力を強くする。はやく、はやく……！
zm「折角此処まで追いかけてきたんに、他の奴に取られてたまるか！」
がしゃん
とれ、た！！まさか取れるなんて。
罠が外れた瞬間、再び走り始める。それを見て、すぐさまゾムが魔法を打ってくるが、間一髪の所で躱す。
chi「ああっ！？もう、ゾムさんが邪魔するから逃げられたやん！」
zm「チーノは引っ込んどれ！俺が捕まえるんや…！」
『ゾムは何でそんなに執着してくるん！？』
zm「気に入ったって、言ったやん…」
『っ！？』
ゾムが呟いた瞬間、何かにぶつかってしまう。
おかしい。木は避けていたはずなのに、どうして。
『っ……！！』
少し後退り、見上げるとそこには赤いマフラー。
咄嗟に横に身を投げ出そうとすると、腕を掴まれ妨げられてしまう。
『はな、離して……っ』
tn「………何で？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
