大賢者はお人好し ページ23
Aside
そういえばこの鬼ごっこ、魔法使うのはいいんだろうか。私はまだ使えないけど、幹部の人らは使ってくる可能性があるもんね。そこんとこちゃんと聞けば良かった。
婆「…孫は元気してたかい？」
『ええ、とても元気で友達とも仲良かったですよ！今回は本当助けられました』
婆「そうかい。……あんた、白髪赤眼だからそれで追われてんのかい？」
『まあ、そうです。本当は、元々捕まってて…？それで、私がどうしても帰りたいって言ったら鬼ごっこで決めようって言われまして』
婆「………あの子らも、何にも変わってないんだねぇ」
そう、感慨深く言う。幹部の人達のこと、知っているのだろうか。まるで、前に関係があったような。白髪赤眼の事も知ってる…？
そう考えていると、近くの茂みがガサと揺れる。
『っ…！？』
婆「追手だったら裏口から逃げな」ﾎﾞｿ
『っ、はい』
裏口に近付き、茂みを伺う。せめて、声だけでも分かれば……！
そう思い、息を潜める。
「婆ちゃん、探しとる奴がおんねんけど、なんか知らん？」
婆「おやまあ、お偉いさんかね？」
この声はゾム……！
下手に動いたら見つかるか？様子見で……。
zm「それより、白い髪で赤い目の、こんくらいの女が来おへんかった？」
ut「ちょ、そんな言い方や脅しとるみたいやん！お姉さん、すいませんね」
婆「もうお姉さんなんて歳じゃないよ。あんたら、私の事も覚えてないのかね？」
間抜けた声を出す2人に、今まで深く被っていたフードを脱いでみせた。
その姿は、大賢者と語られるその者で。
『…！？』
ut「げ、マーリン婆さんかい！」
zm「こんな所で店やっとったん！？w」
婆「恩知らずだねぇ、それに此処には誰も来てないよ。いつも通りね」
いつも通りという言葉が店が繁盛していない事を分からせる。
私のこと庇ってくれてる…！
ut「マーリン婆さんお人好しやからなぁ。隠しとるかも知らんし、一応中見せてくれる？」
婆「勿論構わんよ。ちょっと待っておくれ、茶でも入れようかね」
手で速く行けと急かしてくる。ありがとう、お婆ちゃん！感謝しながら裏口の扉を開け走る。
見つかっていないことを祈りながら。
婆「ポットは何処だったかねぇ。ゾム、何処へ行くんだい？」
zm「婆さん、もてなすんは大先生だけでええで！俺行くわ」
ut「えっ、嘘やろ？」
zm「大先生は中見といてな！」
全力で走ると後ろからパンッという音がし、咄嗟に振り向く。
そこには、指を銃の形にしたゾムがいた。
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
