鬼さんコチラ ページ19
『な、なんで……！』
ni「何でって…危ないやん。死んでたで？」
『………死にたかったのに』
モコがいないから。
そう言おうとした途端、ギロっと睨まれた。
『……っ、何』
ni「死にたいなんて言ったらあかん。親御さんは」
『いないよ、どっかの誰かに殺されたんでね！』
ni「うちの誰かか…」
恐らくこの人も幹部なのであろう。私が飛び降りた窓を見上げて、大きく溜め息をつく。
なんだろう。すごく、気に食わない。
gr「兄さん……帰ってきていたのか」
ni「丁度ね。てかこんだけ揃ってて飛び降りさせるとか、訛ってるんとちゃう？」
sha「そいつ、結構いい動きするんやって！」
zm「せやねん」
ni「へー……じゃあ、いつもみたいに鬼ごっこで決めればええやん」
鬼ごっこ。子供の頃、誰もがした事のある遊びだろう。
勿論、私もしている。寧ろ得意だ。
『決めるって何を？』
ut「勿論、Aちゃんがここに残れるかどうかやで」
rb「Aさんが逃げ切れれば帰っても構わんで！」
『逃げきれなければ？』
kn「そりゃ此処に残ってもらうで！！」
一か八かの鬼ごっこ。私が何度か逃げ出そうとした時も、私は絶対に逃げきれないということは無さそうだった。
得手不得手はあるだろうが、体力には自信がある。
『その勝負、受けて立つ！！』
gr「お、いいぞぉ」
tn「じゃあ、制限時間は1時間。場所は……城じゃ狭いよな、国内にしよか」
『長。広』
tn「そんなもんやろ。じゃあ、最初にAさんが逃げる時間で……1時間中の10分取ろか」
『てことはアンタらが出て来てからは50分逃げ切ればいいわけね』
gr「そあいうことだ。じゃあ始めるか」
『いつでもおっけー！！』
tn「今は11時前。12時に鐘が鳴るのが終了の合図」
『じゃあ、もう逃げてもいいね！』
窓を飛び降り走り出す。
え？死ぬって？飛び降りるくらいならできるよ、さっきは死ぬ気だったからね。
『とりあえず……城の中はないな。最初に探されても困るし』
街の子供達に聞いて回って良い隠れ場所あればそこに隠れるとか…。子供は遊びで結構大人も知らないような場所知ってるしね。
『そこの君、お姉ちゃんに教えて欲しいことがあるんだけど』
子供「何？」
『大人の人が知らないような場所ってないかな？』
なるべく優しく聞く。急いでいるからと言って、ガツガツ行くと引かれる可能性が高いしね。
子供「知ってるけど、お姉さんはだめ！仲間じゃないから！」
そう来たか……！
初対面なだけあって心にくるな！
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
