死と隣り合わせ ページ17
『え？交渉成立って……』
gr「今その犬が契約の鍵の働きをしたんだよ」
『私が、ひとらんからモコを受け取ったから契約が成立したの……？』
tn「簡単に言えばそういう事やな」
『理不尽でしょ、そんなの…！』
元々私のであるモコを返してもらっただけだよ。それで何で契約成立になるの！？
これは訴えても許される案件ですよ！悪質商法だ！！！
os「実は契約書もあるめう。この犬を持ち主が手放した時、自動的にひとらんらんの物になる。返せと言われ、返した場合、持ち主はひとらんらんの言う事を聞く。っていうな？」
『私は契約書書いてないし』
ﾓｺ「ぅわんっ」
『え？』
kn「モコが書いたんや」
『……え？』
モコが書いた？コネシマ遂に頭がイカれてしまったか。
ﾓｺ「くぅん」
『待って、それ……モコの肉球ハンコ…！？』
tn「だから言ったやろ、その犬が自分で押してん」
『何でなんで？モコちゃん、私の為に来てくれたんじゃないの？』
ﾓｺ「わんっ！」
モコが返事をするように泣く。
どうして？信じてたのに。こういう事があるから、信じるのって嫌いなんだ。
こんなこと言いたくないけど、犬だもんね。通じ合うなんて、無理だよね。
と考えていると突然窓が割れ、私の頭を掠めて壁に何かが当たった。
『へ、』
tn「って、敵襲！！」
zm「俺行ってくる！」
『待っ、』
gr「落ち着け。頭を低くして、窓から見えないように」
言われた通りに屈む。
命を狙われるって、こういう事なんだ。やっと分かった。実感できなかったこと。
gr「安心しろ、俺達が絶対に守る」
『ｯ､……ﾋｭｯ』
os「深呼吸して、落ち着こうな」
涙が溜まる。目がヒリヒリする。
怖い。恐ろしい。死にたくない。
暫くして、ゾムが帰ってきた。その緑のパーカーを赤に染めていた。
tn「もう大丈夫やで。安心してな」
gr「そういえば丁度結界が弱まる時期か」
ﾓｺ「……くぅん？」
『も、モコちゃん……私の事、守る為に、此処に残れって…言いたいの？』
ﾓｺ「わん！！」
『そ、そっか』
モコちゃんが私の為に契約してくれたのは分かった。
でも何処にいても危険にさらされるのは同じじゃないか。何処か遠い所で隠れて暮らした方が安全なんじゃないか。
gr「我が国にも白髪赤眼保護制度に反対している奴は多い。だが此処にいれば身の安全は保証しよう」
『でも今さっき殺されかけたし……』
gr「結界は弱まってはいたがちゃんと働いていてな、直撃もせず無事だっただろう？」
此処に、残るの……？
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
