語彙力が無いようで ページ12
『トントンさぁ〜ん』
tn「あ、できた？ありがとぉ」
『シチュー食べれる？』
tn「食べれる。ってシッマは何しよん？」
トントンさんにシチューを渡し、隣で私の肩に頭を埋めているコネシマに目をやる。
何だ此奴。
意外と重いからやめてくれ。
kn「んあー…此奴が俺のことうるさいって言うねん」
『いやだってうるさいし』
kn「どこがやねん！」
tn「うるせえよ」
『離れてくださぁい』
kn「あぁん？」
コネシマをひっぺがし、トントンさんにシチューを渡す。
受け取ってすぐにハフハフとシチューを口に流し込む。
tn「…ん、んまい！」
『それなら良かった』
kn「俺にもちょうだい！」
『トントンさんのしか作ってねーよ』
tn「シチュー1人分だけ作るって……」
『勘』
kn「しちゅぅぅ……」
お前別にそんなにシチュー好きじゃないだろ。
シャケでしょシャケ。
『今度焼きジャケ作ったるから』
kn「まじ！？」
『うん。マヨネーズ付きで』
kn「よっしゃぁ！！」
tn「うるせえ奴だな」
『それな』
シチューを渡した事に満足し、扉に手をかける。
押して開けようとするが扉は開く様子はない。
『……あれっ』
えっ、なんで？
これじゃあトントンさんも出れなくね？
tn「あ、Aさんには開けれんで」
『は？』
kn「何かこう、バッてゆー力がこう…」
『分かんねーから』
tn「魔法やで。この城の幹部はそういう魔法使っとる」
『私にも教えて下さー』
tn「逃げんって約束するならな。それに教えてもできるか分からんし」
約束するって言って破ったらどうなるんだろう。
というか破ればいいのでは。
tn「因みに約束っていうのが魔法でやから破ったら大事になるな！」
『笑いながら言うことじゃねえよお！』
契約ってことかよ！
ここから出たけりゃ契約して絶対帰ってこいって話ね。
終わった――。
『くそぉ…』
kn「無駄な足掻きやで」
『そんな目で見るんじゃねえ』
tn「シチュー美味いで。食うか？」
『私が作ったんだよなぁ』
トントンさんかコネシマが出る時に一緒に出してもらうしか無いな。
暫くは此処にいて様子を見よう。
早く帰って普通の庶民ライフを送るんだ！！
tn「そこの椅子にでも座っとき」
『あ、出してくれないんデスネ』
tn「用事あってな。これ終わるまで待ってくれる？」
『ま、また書類……』
kn「じゃあ俺戻るな！！」
tn「さっさと戻れや」
kn「酷ない！？」
コネシマが部屋を出てから静かになる。
時計とペンの音だけが部屋に響く。
あと、2人の呼吸音。
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作者名：中澤 錦 | 作成日時：2019年9月7日 18時
