蜘蛛女の糸~purple~ (ページ5)

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その後、シンゴの言ったことは冗談ではなく

三日も経たぬうちに

シンゴが住んでいた部屋は解約し、

ふたりで住むための部屋を借りたらしい。

でもそんな部屋とは比べ物にもならない程の部屋を

シンゴは借りてきた。

都会の高層マンションで、

一度見学に行ったけれど床はフカフカのカーペット。

「ねぇ、こんなに豪華じゃなくていいよ。
普通で。1LDKのアパートでいいのよ？」

「何言うてるん、俺らの子ができた時転んでも大丈夫なようにしなあかんやろ。」

その時は自覚するほど真っ赤になった気がする。

シンゴは確信犯の様ににやにや笑って、

そんなシンゴの肩を叩いた。

あなたといれば大丈夫。

自然とそう思えた。

そんなわくわくする彼との新生活の前に

私も乗り越えなければならない壁がある。

そう、離婚しなければ。

覚悟を決めた日、離婚届を叩きつけたのは私

ではなく彼の方からだった。

「他に好きな人ができたらから分かれてほしい」

だなんてありきたりかつ、

私も気づくほどの幸せそうな顔をして言う。

今になって彼が浮気していてよかったとさえ思う。

ねぇ、お互い様よね？

本当に、あなたが浮気してくれて助かった。

なんて、言ったらバチが当たるかしら。