なんでこんな奴【T.N】 (ページ26)

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俺のお疲れ様会から1ヶ月。

事実、振られた俺は阿部に見向きもされてない。

見向きもされんというか、"男"として見られへんくなった。

「明日空いてる？」

「空いてますけど？友達少ないですけど？
なんか用ですか？」

「カラオケ行かへん？」

「いいですね、西村さんの奢りで。」

「奢らんけどな。」

「はい、申し訳なくて奢ってもらうとか無理です。」

こんな会話、普通になった。

土曜日は絶対どっちも図書室におるから、誘うのは簡単にできる。

遊びに行くにも別に意識なんかされへんし、あのときの告白ももはやネタ。

あのとき、手に入れられへんかったLINEもいとも簡単に手に入れた。

「今日一緒に帰りませんか？
部活サボったんで。」

阿部から誘ってくることも多々あり。

あのとき、呼び出し食らったことなんかなかったんちゃうかって思う。

「そろそろサボり過ぎで怒られんで。」

「今日は顧問二人共いないんで大丈夫です。」

「それ先週も聞いた。」

「火曜日はいないって前も言いました。」

こんな喧嘩もしょっちゅう。

というか阿部ホンマに部活サボり過ぎ。

ほとんどサボることなく部活を終えた俺からしたらなんでそんなにサボるんか分からんけど、テニス部には色々あるらしい。

話を聞いてたらだいぶやばい部活みたいで。

「明後日は部活行きや？
俺一緒に帰ったらへんで。」

「明後日は行くつもりです。
つもりなんで分からないですけど。」

水曜日はオフやから、阿部が次部活に行くとしたら明後日の木曜日。

気変わらんかったらええけど。

って俺は阿部の親か。

「聞いてください！
大西さん、ポケットに手突っ込んでもういっこの手でスマホいじっててホンマ爆イケDKって感じだったんですよ！
ギャップにやられた。
大西さん尊いです。」

「それ、俺に言う？」

大西さんの話を聞かされることもしばしば。

適当に流してるけどホンマは聞きたくない。

そんなん言ったら馬鹿にされるから言わんけど。

なあ、阿部、俺まだ諦めてないんやで？