なんでこんな奴【T.N】 (ページ24)

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2時間後、俺らは黙って荷物をまとめてた。

3試合目。

準決勝。

0対3で負けた。

後半で1点目を入れられたとき、悪い意味で"最後"を意識してしまったことが俺の足を重くする。

1点目入れられただけやのに、負けるって、思っちゃったんよ。

.「最後まで、いい試合だった。
このメンバーでする試合はもうないが、1年生、2年生はまたすぐ試合があるんだからしっかり休んでおくように。
怪我もしないようにな。
最後、キャプテン、一言。」

いつも厳しい顧問がちょっとだけ優しくて、その小さな違和感にも嫌気がさした。

「1年間、キャプテンとしてこのチームを引っ張れてよかったです。
今日は一試合目から強い相手に勝って、二試合目もその調子でいったのに。
三試合目、俺がもっとちゃんとしてたら勝ててたんちゃうかなって思ってます。
ホンマにごめん。
...今まで着いてきてくれてありがとうございました。」

定型文が混じった挨拶。

自分の言葉で気持ちを表すのは難しくてこんな言葉に頼っちゃったけど嘘は言ってない。

精一杯の気持ちをこめてお辞儀をした。

.「次期キャプテンだが、」

この試合で発表やもんな。

俺の挨拶を天然でガン無視した顧問にちょっと笑いが起きた。

あらかじめ手に持ってた代々サッカー部キャプテンに受け継がれてきたキーホルダーを握りしめる。

.「寺西。」

.「はい！」

.「副キャプテン、大塚。」

.「ハイ！」

俺の跡は寺西に継がれるんか笑

俺とは全く違うタイプの奴やけど、次の代も面白いチームになりそうや。

.「解散。」

「例！」

.「ありがとうございましたー！」

「寺西、これ。」

.「ありがとうございます。」

「頑張れよ。」

.「はい」

終わっちゃったなー。

はよ帰ろ。