特級は身の丈にあわない【五条悟】

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『遠征、ですか』



｢そ。あれ、Aに言ってなかったっけ｣



聞いてない。東北の方に一年全員で行くらしい。引率は五条先生だと聞いた。



｢遠征って言っても任務だけどね。ちょっとは観光もできるようにしてあるから｣



他に三人いるとはいえ、宿泊ともなると少し緊張する。でも、こんなことで浮かれてたら怒られるな。絶対。消えろ、邪な気持ち。



『わかりました、楽しみにしてます』



失礼します、そう言って自室に戻ろうとしたそのとき。肩をつかまれて、耳に先生の口元が近づく。



｢話したいことあるから部屋行くね｣



条件反射、というかなんというか、身を飛び退かせて耳をおさえた。等の本人はにやにやしながら私を見ているし、なんなら手さえ振ってきている。何事もなかったかのように。



差がすごいな。我ながらそう思ってしまう。こんなに耐性がない自分に少し嫌気がさした。



私にとっては初めての恋人だけど、先生にとってはそうじゃない。何人目か、なんて怖くて聞くことができないほどに慣れている。

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